「定年まであと何十年もこの仕事を続けるのか…」
こうした気持ちを抱えている人は、正直かなり多いと思います。
市役所は民間の会社とは異なる性質の”つらいこと”が多い職場です。
税金関係の仕事をしたかと思えば、異動で教育関係の部署に行き、次は法務部門、その後は福祉など、関連のない仕事を数年ごとに任されることもしばしば。
一から仕事を覚える苦労だけでなく、それぞれの部署特有の”理不尽”とも思えるクレームや要求を受けることもあります。
また、部署によっては成果が見えにくく、同じような毎日が続くことに「日々が無為に消費されている」と焦燥感を感じることも多々あります。
そんな市役所の仕事に対して、「辞めたい」と思ったことがある人は多いはず。
それでも辞めずに仕事を続けられる人には、ある種の「才能」があると思えてならないのです。
市役所を辞めないのは「根性」じゃなくて「才能」だと思う

市役所で長く働ける人は、仕事が苦しくないわけではありません。
事実、多くの同僚と「早く辞めたいね」と、苦しい胸の内を語り合ってきました。
市役所の仕事を苦しく感じていても辞めない多くの人は、決して我慢し続けているわけではありません。
むしろ「苦しいことがある前提で、自分をコントロールしている」印象です。
つまり、自分をコントロールできる力こそが、ある種の「才能」ではないかと感じているのです。
辞めない人が持っている「7つの才能」
市役所を辞めた私にとって、多くの職員は「辞めない才能」の持ち主です。
それら多くの職員は、大きく7つの才能のどれかを持っているのではないでしょうか。
そしてこの力は、ある程度鍛えることも可能だと言えます。
1.期待をしすぎない・職場に多くを求めないメンタル

市役所は、「自分が考えているほど、周りは自分を見ていない」職場です。
理想が強い人・自分をよく見せたい人ほど、自分が望むことと、与えられることとのギャップに悩み、結果としてつらくなってしまいます。
また、「これだけ努力したのだから、当然評価も高まる」といった考えも、自分を苦しめる原因になります。
続けられる人ほど、最初から期待しすぎず、現実的に状況を把握している印象です。
もちろん、職場に全く期待をしていないわけではないでしょうが、そのあたりをうまくコントロールするのが上手だと、仕事で悩むことも減るかもしれません。
これも立派な才能だと思います。
2.仕事を「仕事」として扱える才能
市役所の仕事を「仕事」として捉える人は強いです。
理不尽な要求や人格攻撃的なクレームにも、割り切って対処している印象です。
仕事の内容を”自分事”と捉えてしまうと、メンタルが苦しくなります。
ロールプレイングゲームのように、仕事中は「公務員」の役割を演じることができれば、冷静に仕事に取り組むことができますね。
3.うまく手を抜く才能

全ての事柄を完璧に仕上げようとすると、時間も体力も足りなくなります。
仕事が続く人は、頑張るところと抜くところを決めています。
たとえば、過去のフォーマットを最大限活用したり、内部資料は必要な内容をサクッと載せて終わりにしたりと、効率的な仕事をしています。
また、普段は軽口を言いながら仕事をしつつも、「これは今日中にやりきろう!」などと、メリハリある仕事をすることで、手を抜く時間を作っている人も多くいます。
市役所の仕事は外部の人が思う以上に膨大ですが、そんな中でも、省エネで進める仕事と全力で進める仕事を切り分けられると、仕事がずいぶん楽になります。

「全部ちゃんとやろう」とすると、仕事が終わらないだけでなく、心も先に終わりかねません。
4.仕事をうまく振り分ける・周りを巻き込む能力
自分一人で仕事を抱えていると、なぜかさらに仕事が舞い込んでくるのが市役所の不思議なところです。
続く人は仕事を一人で抱え込まず、うまく仕事を他の人に振り分けている印象です。
また、周りを巻き込んで仕事をする人も長く仕事を続けられるイメージです。
どちらも極端に・一方的にやりすぎると「ただ仕事をしない人」と思われてしまいますが、お互い様の精神で、時には自分が同僚の仕事を引き受けたり手伝ったりすることで、自身の業務量の平準化をしています。
これらをうまく行う能力は、まさに才能と言えますね。
5.仕事以外に自分の居場所を作る能力

仕事そのものに魅力を感じにくくても仕事を続けられる人は、人生の軸を仕事以外に求めている人も多い印象です。
仕事以外に自分の居場所があると、仕事がつらくても意外と耐えられるものです。
- 仕事が終わったら仕事の話をあまりしない。
- 家に帰ったら別の世界がある。
- 趣味や家族や運動や、仕事と関係ない人間関係がある。
など、「仕事が全部」にしないことが長く続ける秘訣かもしれません。

私の周りでも、アイドルグループの追っかけ、野球の応援に全力だった同僚がいます。
仕事は活動するための費用を稼ぐ術のようでした。
6.ある種の鈍感力
まさに才能とも言えるのが、「ある種の鈍感力」です。
あなたの周りにも、マイペースに仕事をしつつ、周りから何かを言われても特に気にした様子のない同僚はいませんか?
人間、どうしても他人からの評価が気になってしまうものですが、必要以上に他人の顔色や言動を気にしても仕方がありません。
あえて鈍感なふりをしてみるのもいいかもしれませんね。
7.自分を貫く強さ・反骨精神

個人的に憧れていたのが、「自分を貫く意思を持っている人」です。
上から言われたままに仕事をせず、自分で考えてから仕事をするタイプですね。
決して「自分がやりたくない仕事はしない」というものではなく、「自分が納得したうえで仕事にとりかかる」タイプで、結果として仕事の改善が得意であったりします。
現状に対する不満は持っているものの、仕事への姿勢が受け身ではないため、「苦しいから辞める」ということはないイメージです。
仕事に対して”自分の軸”を持つようにすると、つらい仕事でも進めていけそうですね。

このタイプには有能な人も多いので、ステップアップのために退職する人もいました。
退職に歯止めをかける要因が機能するのも”才能”あってこそ

辞めない人は、辞めたい気持ちがないわけではありません。
才能以外にも、退職に歯止めをかける要素があるからこそ、仕事を続けられるのです。
というのも、市役所を辞めると、失うものが具体的なんですよね。
毎月の収入、信用、生活設計、家族の安心などなど。
一方で、退職して得られるものは不確実です。
転職しても、「次の職場が良いところか」は行ってみないと分かりません。
- 失うものは確定(安定収入・福利厚生・信用・生活設計)
- 得るものは不確実(転職先の当たり外れ・自分の市場価値の不安)
- 退職以外の逃げ道がある(異動・担当替え・休職・時短など)
- 家族・ローン・周囲の目といった心理的ブレーキ
「辞めたい」気持ちがあっても、辞めるところまでは行かない人が多いのは、これらが歯止めになっているケースが少なくありません。
結局、ここが現実なんですよね。
ただ、歯止めがあるだけでは、仕事を続けられない人も多いはずです。
歯止めがある状況で、先ほどの7つの才能のどれかが効いてくるからこそ、多くの人は市役所に勤め続けられるのだと思います。

つまり、「辞めない=仕事への満足」ではなく、「計算した結果、退職の合理性がない」と考えているからと言えますね。
今の状況に悩んでいるなら専門家に相談してみよう
多くの市役所職員が「今のままでいいのかな…」と悩んでいるのは事実です。
実際、退職者数は近年増えており、20代・30代の自治体職員(都道府県職員を除く)の退職者数は年間2万人を超えました。

もはや市役所職員の退職は珍しいものではなくなってきているのです。
また、中には退職まではいかずとも、今のキャリアに悩んでいる人が多いのも事実です。
「このまま定年まで働くイメージがわかない」
「自分の強みがわからない」
「今の仕事を辞めたとしても他に何がやりたいかわからない」
「そもそも辞める・辞めないの判断ができない」
こういう思いを抱いてモヤモヤしている方は、ぜひ専門家に相談してみましょう。
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Q&A
- 「市役所を辞めないのは才能」と言うと、辞める人を否定しているように聞こえませんか?
否定しているように読めてしまったらごめんなさい。
ここで言う「才能」は生まれつきの強さではなく、メンタルを崩さない働き方の工夫のことです。
合う・合わないもありますし、仕事そのものが合わない場合は、辞めるのも合理的な適応です。
- 辞めない人は、仕事が好きだったり、やりがいを感じている人が多いのでしょうか?
もちろん市役所の仕事が好きな人もいます。
ただ実際は、「好きだから続いている」というより、辞めることの採算の悪さと、ここで言う”才能”が噛み合って続いている人も多い印象です。
「辞めない=満足」とは限りません。
- 「辞めたい」と思うのは甘えですか?
決して甘えではありません。
市役所の仕事は、異動・終わりのない対応・成果の見えにくさ・失敗できない緊張など、構造的に消耗しやすい条件が揃っています。
「辞めたい」と感じるのは自然な反応です。
- 「期待しないメンタル」って、諦めと何が違うんですか?
期待をゼロにすることではありません。
違いは、落差で心が折れない期待値に調整することです。
改善の意欲は持ちつつ、「変わらない部分もある」と理解して働くと、結果的に長く続けやすくなるはずです。
- 鈍感力って、具体的にはどう身につけるんですか?
“気にしない性格になる”というより、気にしすぎない工夫です。
たとえば、相手の言葉を「案件として処理する」「評価は全部はコントロールできないと割り切る」「反省はするが自分を責めすぎない」など、受け止め方を少し変えるだけでも負荷が減ります。
まとめ:辞めない才能は現実への適応力

市役所を辞めないのは「一種の才能」です。
その正体は、根性ではなく、現実とうまく折り合いをつけるスキルだと思います。
今回紹介した”才能”は全てを備える必要はなく、そのうちのどれかを備えているだけで、より長く市役所に勤め続けることができるでしょう。
そして、これらの”才能”の多くは伸ばすことができるものです。
「なぜみんな辞めずに勤め続けることができるのだろう」と悩んだら、「彼らには才能があり、私自身も才能を伸ばすことができる」と考えてみてください。
そして、もし今「辞めたい」が頭から離れないなら、まずは“自分を壊さないための才能”を1つだけ増やしてみてください。
それでも苦しいなら、辞めることもまた適応です。
続けるか離れるかより、「自分の人生を守れる選択」を優先していいと思います。
市役所勤めは決して簡単な仕事ではありませんが、あなた自身が才能を伸ばし、長く市役所で活躍されることを願っています。
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