「自分は市役所の仕事に向いているのかな…」
市役所への就職を考えている人の中には、このように少しナーバスになる人もいるかもしれません。
また、すでに市役所で働いている人でも、仕事がうまくいかなかったり、窓口対応や人間関係に疲れたりして、「自分は公務員に向いていない」と悩むことがありますよね。

私自身、仕事をする中で「自分は市役所に向いていない」と何度も思いました。
しかし、今になって振り返ってみると、市役所の仕事にまったく向いていない人は、それほど多くないと思っています。
実際に市役所で働いていたときも、人と話すことが得意な人、口数は少なくても正確に事務を進める人、調整が得意な人、現場で力を発揮する人など、本当に多種多様な人が働いていました。
市役所には、窓口、福祉、税務、企画、会計、土木、内部管理など、さまざまな仕事があります。
そのため、ある仕事が苦手だからといって、市役所のすべての仕事に向いていないわけではないと思うのです。
とはいえ、現実問題として、市役所の仕事が合う人・合わない人がいることも事実です。
また、自分に合わない部署へ配属されたことで、「市役所そのものが向いていない」と感じてしまうこともあります。
そこでこの記事では、市役所の仕事に向いている人と、向いていないと感じやすい人の特徴を紹介します。
あわせて、私自身が「市役所にまったく向いていない人はそれほど多くないのでは」と思う理由や、部署との相性についても解説します。
市役所の仕事に向いている人の特徴

まずは、市役所で働くうえで役立つ特徴を紹介します。
もちろん、これから紹介する特徴にすべて当てはまる必要はありません。
また、仮にすべて当てはまらないと感じても、それだけで「市役所に向いていない」ということにはなりません。

自分が考える「自分の特徴」と、周囲の人から見た特徴は違うことも多いですからね。
ぜひ、ひとつの参考として読んでみてください。
周囲と相談しながら仕事を進められる人
市役所には、自分一人だけで完結する仕事はそれほど多くありません。
また、自分一人の判断だけで進めると、場合によっては取り返しのつかないミスにつながることもあります。
そこで大切になるのが、上司と事業の方向性を確認したり、同僚と業務を分担したりすることです。
ひとつの事業を進める際にも、課や係の中で何度も相談しながら、チームとして方向性を固めていくことがあります。
もちろん、自分の意見を発信することは本当に大切なことです。
なので、相談するときには、ぜひ自分の考えを伝えてほしいとも思っています。
社交的である必要はありません。
自分の意見を交えつつ、周囲と相談しながら仕事を進められる人は、市役所の仕事が向いていると言えます。
分からないことをそのままにしない人
市役所の仕事では、法律、条例、規則、要綱、マニュアルなど、さまざまなルールに基づいて進められます。
制度は複雑ですし、内容が変更されることもよくあります。
長く働いている職員でも、すべての制度を覚えているわけではありません。
特に、異動した直後に分からないことがあるのは当たり前です。
そこで大切になるのが、「本当にこの処理でいいのか」「以前と制度が変わっていないか」などと疑問を持ち、確認する習慣です。
自分で法令やマニュアルを調べてもよいですし、上司や同僚、関係部署へ確認しても構いません。
分からないことを質問するのは、市役所でも恥ずかしいことではありません。
むしろ、分からないことを素直に確認してくれる人の方が、周囲も安心して仕事を任せられます。
根拠が曖昧なまま処理を進めず、必要な確認ができる人は、市役所の仕事に向いていると感じます。
地道な事務作業を続けられる人
市役所の仕事は、想像以上に地味なものが多いです。
書類の確認、データ入力、通知文の作成、支払い手続き、照会への回答、資料作成など、地道な事務作業がたくさんあります。
同じような書類を何十件、何百件と確認することもあります。
日々の細かな作業にも意味を見つけられる人は、市役所で働きやすいと思います。
もちろん、すべての部署が一日中事務作業をしているわけではありません。
現場に出る仕事や、人と接する時間が長い仕事、イベントが多い仕事もあります。
それでも、どの部署でも少なからず事務作業はあります。
そのため、地道に作業を続けられる人は、市役所の仕事向きと言えますね。
相手の話を落ち着いて聞ける人

市役所では、住民からさまざまな相談を受けます。
手続きの方法を知りたい人もいれば、生活上の悩みを抱えている人、市役所に不満を感じている人もいます。
そのため、話が上手であることも大事ですが、それ以上に、相手の話を落ち着いて聞けることが大切になってきます。
住民自身も、何を相談すればよいのか整理できていないこともあります。
そのようなときは、話を聞きながら、「何に困っているのか」「どのような手続きが必要なのか」「どの部署が担当するのか」を、職員側で整理していくことになります。
人と話すことがそれほど得意でなくても、相手の話をしっかり聞いて、必要なことを確認できる人は、市役所で力を発揮できると思います。
相手の気持ちに寄り添いつつ、ルールや公平性を意識できる人
市役所では、目の前にいる人の事情に配慮しながらも、法律や制度を逸脱した対応をすることはできません。
個人的には助けてあげたいと思っても、制度の条件を満たしていなければ、希望どおりの対応ができません。

たとえば、年金額がわずかに増えたことで、住民税非課税の対象から外れてしまう場合があります。
介護保険の担当だったとき、「年金は1万円も増えていないのに、どうして介護保険料がこんなに上がるのか」と相談されたこともあります。
市役所では相手の気持ちに寄り添うことと、ルールに沿って対応することの両方が求められます。
決して冷たい対応をするという意味ではありません。
(たまに冷たい対応をする職員がいますが、マネしないでくださいね。)
できない理由を丁寧に説明したり、利用できる別の制度を紹介したりすることも、市役所職員の大切な仕事です。
また、時として相手の状況と制度の間で板挟みになり、つらい気持ちになることもあります。
それでも、相手の気持ちを想像しながら、制度の範囲内で何ができるのかを考えられる人は、市役所職員に向いていると思います。
新しい仕事を覚えることが苦にならない人
市役所では、数年ごとに部署異動があります。
これまで税金の仕事をしていた人が福祉の部署へ異動したり、窓口業務をしていた人が企画や内部管理の仕事を担当したりすることもあります。
異動すると、それまでの経験が役に立たないことは、よくあることです。
市役所の仕事は幅が広いので、まったく新しい制度や業務を一から覚えることになります。
また、部署ごとに独自の習慣や仕事の進め方があったりもするので、同じ市役所内であるにもかかわらず、異動後に戸惑うこともあります。

このあたりが、「市役所の異動は転職みたい」だと言われる理由ですね。
市役所に勤めていると、異動を通じて何度も新しいことを覚える必要があります。
新しい仕事を覚えること・学ぶことが苦にならない人は、市役所のような“異動のある仕事”は向いていると思います。
市役所の仕事に向いていないと感じやすい人

ここからは、市役所の仕事に向いていないと感じやすい人の特徴を紹介します。
ただし、ここで大事なのは、「当てはまるからといって、市役所で働けないわけではない」ということです。
あくまで、市役所特有の仕事の進め方にストレスを感じる可能性がある、という話です。
また、部署によって仕事内容は大きく異なります。
ひとつの特徴だけで市役所全体への適性を判断することはできません。
自分の判断だけですぐに仕事を進めたい人
市役所の仕事では、法令の確認、上司の決裁、予算の確保、関係部署との調整など、さまざまな手続きが必要です。
自分では良いアイデアだと思っても、すぐに実行できるとは限りません。
市民にとって必要な事業であっても、予算や人員の都合で翌年度以降に見送られることは、よくあることです。
そのため、自分の判断で素早く決めて、すぐに結果を出したい人は、市役所の仕事のスピード感にもどかしさを感じるかもしれません。
特定の仕事だけを続けたい人
市役所では、希望する部署に配属されるとは限りませんし、むしろ希望部署に配属されない人のほうが多いとも言えます。
企画の仕事がしたくて入庁しても、最初の配属先が窓口や総務関係になることも珍しくありません。
さらに、数年後の異動で、まったく経験のない部署を担当する可能性もあります。
そのため、「この仕事以外は絶対にやりたくない」と考えている人は、異動がある市役所では息苦しさを感じるかもしれません。
もちろん、技術職や資格職など、専門性を生かせる特定の部署間を異動する職種もあります。
一方、一般行政職として入庁する場合は、幅広い仕事を担当する可能性があることは知っておいてください。
すぐに感情的になってしまう人

市役所には、ときとして理不尽とも思えるクレームが入ったり、無理難題だと思える要求を受けたりもします。
また、感情的になっている市民から、強い言葉で責められることもあります。
そのようなとき、職員側がカッとなって対応すると、現場は収拾がつかなくなります。
当然、職員にも感情がありますから、腹が立つことはあります。
でも、相手と同じ土俵に立って対応してしまうと、他の職員にも迷惑がかかってしまいます。
理想は、相手の言葉に振り回されず、落ち着いて毅然と対応することです。
ただし、すべてを一人で受け止める必要はありません。
対応が難しい場合は、上司や同僚と“チームとして”対応することも大切になってきます。
公務員は楽で安定した仕事だと思っている人
安定した仕事として市役所を志望すること自体は、悪いことではありません。
むしろ給与や福利厚生、雇用の安定性を重視して職場を選ぶのは、ごく自然なことです。
一方で、「市役所なら残業はない」「大きな責任を負うことはない」「一度採用されれば、気楽に働けそう」といったイメージで就職すると、入庁後に大きなギャップを感じるかもしれません。
部署によっては、年度末や予算編成の時期に忙しくなります。
選挙、災害、イベント、制度改正などにより、残業や休日出勤が発生することもあります。
また、住民から厳しい意見を受けたり、自分だけでは解決できない要望への対応を求められたりすることもあります。
断言しますが、市役所は決して楽な仕事ではありません。
安定性だけでなく、仕事の大変さも理解したうえで入庁することをおすすめします。
人と接するのを避けたい人
市役所にはさまざまな仕事がありますが、どの部署でも、多かれ少なかれ人と関わる必要があります。
窓口が少ない部署でも、電話対応や関係部署との調整はあります。
現場に出ることが多い仕事でも、住民や事業者との調整はあります。
また、内部事務が中心の部署でも、上司や同僚との連携は欠かせません。
もちろん、人と接するのが得意ではない職員も、市役所にはたくさんいます。
人付き合いが苦手なこと自体は、大きな問題ではありません。
ただ、「できる限り誰とも関わらずに仕事をしたい」と考えている場合は、市役所の仕事を苦しく感じるはずです。
市役所には多様なタイプの人が働いている

市役所に向いている人というと、真面目で協調性があり、誰とでも話せる人を想像するかもしれません。
たしかにそういう人もたくさんいますが、それ以上にさまざまなタイプの職員がいます。
人前で話すことが得意で、住民説明会やイベントで力を発揮する人もいます。
一方で、口数は少なくても、複雑な制度を丁寧に調べ、正確に事務を進める人もいます。
多くの関係者との調整が得意な人もいれば、一人で集中して資料を作ることが得意な人もいます。

私が市役所で働いていたときも、性格や仕事の進め方が異なる、多種多様な職員がいました。
市役所という職場は、いろいろなタイプの人が働き、それぞれが異なる場面で能力を発揮している場所だといえます。
市役所に向いていないのではなく、部署が合わないだけかもしれない
正直な話をすれば、すべての部署が、すべての人に合うわけではありません。
例えば、人と接するのが苦手な人が窓口業務に配属されれば、毎日の仕事が大きな負担になるはずです。
一方で、クリエイティブなことが得意な人が、定型的な審査や確認作業を中心とする部署に配属されれば、ルールに縛られている感覚に陥るかもしれません。
しかし、人と接することが苦手な人でも、法令の確認や契約、内部管理などの仕事では力を発揮できることも多いです。
クリエイティブなことが得意な人なら、政策、広報、地域振興、都市計画などの分野で実力を発揮できるはずです。
つまり、「市役所の仕事が合わない」と感じている人でも、実際には「現在の部署や担当業務との相性が良くない」だけかもしれないのです。

部署が変わることで、仕事の進み方や周囲からの評価が大きく変わった職員を何人も見てきました。
「自分には合わない」と思っていた仕事が、意外と合うこともある

実際、今まで問題なく働いていた人が、異動後に休みがちになることは多いです。
結局のところ、自分に合っていない部署に配属されると、仕事をつらく感じてしまうのです。
ただ残念ながら、配属先は自分の希望が通るとは限りません。
どのような人にも強みを生かせる仕事がある一方で、その強みを生かせる部署に配属されるかどうかは、自分ではコントロールしにくい部分なんですね。
しかし一方で、「自分には合わない」と思っていた仕事でも、実際に始めてみると、意外と面白く感じたり、思った以上にうまく進められたりすることもあります。
「食わず嫌い」ではないですが、始める前から「自分には向いていない」と決めつけないことも大切だと思います。
いろいろなタイプの職員がいるからこそ市役所は面白い
これから市役所を目指す人は、「自分は公務員向きの性格か」を考えすぎる必要はありません。
人と話すのが得意でなくても、市役所で働いている人はたくさんいます。
細かな作業が苦手でも、現場や調整の仕事で力を発揮する人もいます。
そして、私が声を大にして伝えたいのは、「自分の性格を無理に公務員らしく変えないでほしい」ということです。
いろいろなタイプの人がいるからこそ、市役所はおもしろい職場になりますし、新しいアイデアも生まれます。
自治体によって違いはありますが、市役所には想像以上に多くの仕事があります。
まずは、その中に自分の得意なことを生かせそうな仕事があるか、探してみてください。
もし、市役所の仕事がイメージできなければ、市役所にはどんな部署があるか解説した記事がありますので、ぜひ参照してみてください。
Q&A
- 市役所の仕事に向いていない人は、本当にいるのでしょうか?
市役所全体にまったく向いていない人は、それほど多くないと思います。
市役所には、窓口対応、相談業務、事務処理、企画、庁内調整、現場確認など、さまざまな仕事があります。
人と話すことが得意な人もいれば、一人で集中して作業することが得意な人もいます。
ただし、すべての部署がすべての人に合うわけではないのも事実です。
市役所に向いていないというよりも、配属された部署や担当業務との相性が良くない場合はあります。
- 人と話すのが苦手でも、市役所職員になれますか?
人と話すのが得意でなくても、市役所職員になることはできます。
市役所には住民対応が多い部署もありますが、内部事務や書類作成、データ処理などが中心の部署もあります。
ただし、どの部署でも、上司や同僚への報告、電話対応、関係部署との連絡など、最低限のコミュニケーションは必要です。
話し上手であることよりも、必要なことを確認し、相手に伝えられることが大切になってきます。
- 市役所では、希望する部署に配属してもらえますか?
希望を聞いてもらえることはありますが、必ず希望する部署に配属されるとは限りません。
配属や異動は、本人の希望だけでなく、組織の人員配置や経験、職員構成などを考えて決められます。
そのため、一般行政職として入庁する場合は、さまざまな部署で働く可能性があると理解しておいてください。
- 公務員に向いていないと感じたら、辞めた方がよいのでしょうか?
すぐに辞めるべきとは限りません。
まずは、何がつらいのかを分けて考えてみることが大切です。
仕事内容が合わないのか、業務量が多すぎるのか、人間関係に悩んでいるのかによって、対応も変わります。
異動希望を出す、上司や人事担当へ相談する、休暇を取って体調を整えるなど、退職以外の選択肢もあります。
ただし、心身に大きな影響が出ている場合は、無理に働き続けることだけが正解ではありません。
- 真面目な人ほど、市役所の仕事に向いていますか?
真面目さは市役所の仕事で役立ちますが、真面目なだけで向いているとは限りません。
責任感が強い人ほど、仕事を一人で抱え込んだり、ミスを必要以上に気にしたりすることもあります。
市役所では、丁寧に仕事を進めることに加えて、分からないことを相談することや、周囲に助けを求めることも大切です。
まとめ:市役所全体への適性より、部署との相性が大切

今回は、市役所の仕事に向いている人・向いていないと感じやすい人の特徴を紹介しました。
とはいえ、市役所の仕事の向き不向きを、性格だけで分けるのはとても難しいことです。
自分で考えている性格と、他人から見た性格が違うことも多いです。
「自分には市役所職員は向いていないんだ」と思っても、周りから見れば「ピッタリな仕事」だと思われることもあるでしょう。
また、市役所にはさまざまな仕事があるので、自分の強みを発揮できる部署があるはずです。

実際に働いている職員の性格や得意分野も多種多様です。
そのため、市役所の仕事自体が向いていない人は、実はそれほど多くはないと私自身は思っています。
たしかに、配属先や異動先は自分の思い通りにはならないことが多いです。
配属先の仕事がつらくて、「自分には市役所は合わない」と思うことがあるかもしれません。
でもそれは、「市役所の仕事が合わない」のではなく、「その部署や担当業務が合っていない」だけかもしれません。
自分はどのような仕事なら力を発揮できるのか。
この視点で考えると、“市役所で働くこと”を少し違った角度から見られるかもしれませんね。
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