市役所で働くうえで、避けては通れないのが「人事異動」という所属する部署の配置換えです。
部署を異動すると、「転職」したように感じるほど、今までの仕事とはまったく異なる業務内容になるかもしれません。
では、市役所では何年ごとに異動があって、どれくらい前に異動することがわかるのでしょうか。
基本的には3~5年程度で異動があり、異動の内示は直前に出る自治体も少なくありません。
とはいえ、これらは自治体によって結構違いがあるのも事実です。
そんな中、どの自治体でも異動に共通していることもあります。
それは、「異動すると仕事を覚え直さなくてはならない」ということと、「実は異動先でも活かせる経験はある」ということです。
そこでこの記事では、市役所の異動は何年ごとなのか、いつ異動が分かるのか、異動先はどのように決まるのかなど、市役所の人事異動について解説していきます。
一般的な傾向と私自身の経験をもとに紹介しますので、ひとつの参考として読んでみてくださいね。
市役所の異動は何年ごと?

市役所内での人事異動、どのくらいの期間ごとにあるのか気になりますよね。
実は異動について、「必ず○年で異動」という決まりはありません。
自治体によっても移動の考え方は違いますし、同じ自治体の中でも、職員によって異動するまでの年数は結構違うのです。
3~5年程度がひとつの目安
そうは言っても、目安となる期間はあります。
異動が多いのは、その部署で3~5年程度経験を積んだ職員です。
また、ベテランよりも若手職員の方が、厳格に3~5年で異動があるイメージです。
まずは3~5年をひとつの目安として考えておくのがいいと思います。

在籍する部署で3年経過すると、内示が出るたびにそわそわしてきます。
5年も経つと、「もう異動かな」と変な覚悟が湧いてきます。
1~2年で異動することもある
事情によっては3年を待たずに異動になることもあります。
「なにか問題を起こしたから異動なんだ」と思いがちですが、そうとは限りません。
もちろんそういうケースもありますが、“職場の都合”のために異動になるケースが多いように思います。
組織改編や人員配置、昇任など、さまざまな事情が人事異動には関係しますからね。
5年以上同じ部署にいる人もいる
反対に、同じ部署に比較的長く在籍する職員もいます。
特にベテラン職員に多いイメージで、「まだこの部署にいたんですか?」と話をすることもありました。
専門性が必要な仕事や、組織の事情などによって、異動のタイミングが遅れることはあると考えておきましょう。

自治体によっては、専門性を磨くスペシャリスト職員と、様々な部署の知識をもつゼネラリスト職員を分けて育てていることもあります。
スペシャリスト職員になると、異動までの期間が長くなる場合もあります。
市役所の人事異動はいつ?内示はいつ分かる?

市役所の人事異動は、なんとなくお祭り感があります。
自分の異動だけでなく、同じ部署の職員が異動するかも気になるものです。
では、人事異動と異動の内示はいつ頃行われるのか確認していきましょう。
4月の定期異動が中心
市役所の異動は、年度初めの4月が中心になります。
このほか、7月・10月・1月と、四半期ごとに異動があったりもします。
また、年度初めの4月は市民課や課税課などの窓口は混雑するため、経験のある職員に異動されてしまうと業務が困難になる部署もあります。
そのため、自治体によっては4月の異動を避け、別の時期に職員体制を整えることもあります。

結局、4月の異動が多いとはいえ、自治体ごとに異動の時期は異なってくるんですね。
内示から異動までは時間が短い
個人的につらかったのが、異動の内示が出てから実際に新しい部署に移るまで、それほど時間がなかったことです。
私が勤めていた市役所では、内示が出るのは異動の10日前でした。
内示が出てから異動するまでの期間が短いので、仕事の引継ぎなどでかなり慌ただしかったです。
多くの自治体で内示は異動2週間から1週間前かと思います。
基本的に転勤がない市役所では、内示から異動までの時間は短くなっているのは理解しておきたいですね。
市役所の異動先はどうやって決まる?

市役所では、異動希望調査があります。
どこの部署に行きたいか、どのような理由で異動先を希望するのかを提出することになります。
とはいえ、私の経験では、希望通りの部署へ異動できるケースはそれほど多くありませんでした。
本人の希望だけではない、人事異動の決め方はどのようなものなのでしょうか。
組織全体の人員配置を考えながら決まる
実際の人事の決め方は自治体によって異なりますが、基本は人事担当部署などが中心となり、組織全体の配置を調整していくことになります。
たとえば次のようなことなど、様々な事情を勘案しながら決めていくことになります。
- これまで経験してきた仕事
- 本人の適性
- 各部署に必要な人数
- 退職する職員・昇任する職員
- 人材育成
- 家庭の事情
ある人を別の部署へ動かせば、その空いたポストには別の職員を配置する必要があります。
市役所全体で見ると、人事異動は大きなパズルみたいなものですね。
異動理由は基本的に本人には伝わらない
「なぜ自分はこの部署に異動なんだろう」と疑問に思うことは少なくありません。
ただ、基本的に異動理由は開示されないものと考えていいです。

私がいた市役所では、一応「上司から異動理由を説明する」ことになってはいましたが、当たり障りのない話で、具体的に納得できる理由を示されたことはありませんでした。
組織全体を見て異動先をきめていることもあり、“本当の理由”を説明するのは難しいのだと思います。
なぜ市役所では人事異動をするの?

せっかく仕事を覚えたのなら、その仕事をずっと担当した方が効率がいいと思いますよね。
もちろんそのとおりで、長く同じ部署にいる職員の方が知識も多く、効率的な仕事することが多いです。
それでも、市役所では定期的に人事異動が行われます。
その理由はいくつかあって、これを知っておくと、「人事異動」という制度にも納得できるはずです。
幅広い仕事を経験するため
市役所の仕事は本当に幅広いです。
ひとつの部署だけでは、市役所全体の仕事を知ることはできません。
複数の部署を経験することで、行政全体を見る視点を身につけてほしいという「成長」の側面があります。
市役所仕事については、主な部署を解説した記事がありますので参考にしてみてください。
職員の適性を見つけるため
実際に仕事をしてみなければ分からないことは多いものです。
市民とのコミュニケーションが得意な人もいれば、数字を扱う仕事が得意な人もいます。
そのあたりを確認する意味でも、今まで経験していない部署に異動になることがあります。

実際、私の同僚でも、異動したとたんに仕事の質・スピードが一気に上がった人がいます。
さまざまな仕事を経験する中で、職員自身が自分の得意分野に気づくことがあるのも、異動の意外な側面かもしれませんね。
▶市役所の仕事に向いている人・向いていない人とは?元職員が部署との相性も解説
業務の属人化を防ぐため
市役所の仕事で大切なのが、「だれがどこに配置されても滞りなく業務が進む」ことです。
「Aさんがいなくなったから業務ができません」では、組織としてまずいことになります。

長期間にわたって特定の職員だけが同じ仕事を担当していると、その職員しか仕事の進め方が分からない状態になってしまいますからね。
そこで異動を通して、多くの人がその仕事を知っている体制を作っている側面があるのです。
市役所は異動が頻繁にあるので、誰が来ても大丈夫なように、マニュアル化も進んでいますね。
長期間同じ担当になることによる問題を防ぐため
意外と大事な視点がこれです。
よくニュースになる自治体職員と業者との癒着や、お金を扱う部署での横領など、一つの部署に長く在籍するほどリスクが高くなりますし、また問題の発見も遅れます。
こうした、長期間同じ担当になることによる問題を防ぐためには、異動という正式な制度で数年単位で配置を変えるのが効果的なんですね。
市役所は異動すると仕事内容が大きく変わる

市役所の異動で知っておいてほしいのが、「異動すると仕事内容が大きく変わる」ということです。
市役所の仕事は幅広いので、異動先の部署を「転職」したかのように感じることもあります。
窓口業務から内部事務になることもある
たとえば、市民と直接話す機会の多い部署から、庁内の職員との調整が中心になる部署へ異動することがあります。
逆に、これまで内部事務を担当していた職員が、市民対応の多い部署へ異動することもあります。
この手の異動は、特に若手の職員に多い傾向です。
というのも、窓口も内部での調整も市役所では大事な仕事で、育成という観点からどちらも経験してほしいという思いがあります。
▶窓口業務がしんどい!内部向けの部署に異動しやすくなる「おすすめ資格」4選
全く違う分野を担当することもある
特に一般行政職で採用された職員は、これまで経験したことがない分野へ異動することもあります。
たとえば、福祉関係の仕事をしていた人が税務を担当したり、窓口業務をしていた人が企画関係の仕事を担当したりすることも普通にあるのが市役所です。
異動先では、新しい法律や制度、業務の流れを覚える必要があり、異動1年目は結構大変なんですよね。
何年市役所で働いていても、異動先では分からないことだらけです。
市役所では「異動してから新しい仕事を覚える」ということなりますが、「業務の属人化を防ぐ」で説明したとおり、マニュアルもありますので、あまり不安になる必要はありません。
▶市役所の仕事は自治体によって違う?地域ごとに変わる仕事内容を解説!
部署が変わっても共通する仕事はある
異動したからといって、それまで覚えてきたことが全て無駄になるわけではないのも、市役所の特徴です。
担当する事業や制度は変わっても、市役所内部の事務には多くの共通する部分があります。
たとえば次のような仕事は、どの部署でも共通しています。
- 伝票の作成
- 支出に関する事務
- 消耗品や備品の調達
- 予算の執行
- 翌年度予算の要求
- 決算に関する事務
- 文書の作成や管理
- 庁内での決裁
- 他部署への照会や回答

担当分野の知識はリセットされても、「役所で仕事を進める力」は積み上がっていく、と言えますね。
共通する内部事務を覚えておくと異動後も役立つ
異動先の業務については全く分からなくても、「伝票の切り方」「予算決算に関する資料作成」「他部署からの調査回答」など、どの部署でも共通している仕事は異動先の部署でも役立ちます。
こうした内部事務が分かる職員は、新しい部署でも仕事に入りやすくなりますし、周囲から頼られることも多いです。
市役所に就職したら、特に若手のうちは、自分が担当している仕事だけではなく、「どの部署でも共通する事務仕事」を意識して覚えておくと、将来の異動でかなり役立ちます。
Q&A
- 市役所で1年や2年で異動することはありますか?
3年未満での異動も市役所ではあり得ます。
3~5年程度同じ部署を経験するケースが多いものの、組織の事情などによって短期間で異動することもあるのです。
ただし、異動が早いという事実だけで「仕事ができなかった」とか「優秀だから引き抜かれた」と判断することはできません。
- 市役所で5年以上異動しないこともありますか?
あります。
全ての職員が同じ周期で異動するわけではありません。
業務内容や専門性、組織の人員配置などによって、同じ部署に長く在籍する職員もいます。
- 市役所から別の市や県外へ異動することはありますか?
市役所内の人事異動では、基本的にはその自治体の組織内で勤務先や担当部署が変わります。
ただし、派遣といって、都道府県庁や事務組合、連携する外部団体に行くことはあります。
派遣は異動とは異なり、応募制であったり、試験があったりすることもあります。
派遣でなければ、基本的には所属する自治体の内部でのみ異動となります。
- 市役所には決まった異動ルートがありますか?
「この部署の次は必ずこの部署」というような、全職員共通の異動ルートはありません。
どのような部署を経験するかは、自治体や職種、本人の経験などによって変わってきます。
ただ、結果的に似た分野を多く経験する職員もいるので、市役所内で「次はあの部署に異動だね」と、都市伝説のように異動ルート説があったりします。
それはそれでおもしろいですよね。
- 異動が多い人や異動しない人は評価と関係がありますか?
異動回数だけで、その職員の評価を判断することはできません。
人事異動にはさまざまな事情が関係します。
「異動が多いから優秀」「同じ部署に長いから評価されていない」と単純に考えることはできません。
まとめ:市役所は異動しながら幅広い仕事を経験する

市役所では定期的に人事異動があり、それまでとは全く違う仕事を担当することがあります。
異動の周期や内示の時期、異動の考え方については自治体によって異なるため、「必ず○年で異動する」とは言えませんが、長く勤めていれば、異動は必ず経験します。
異動希望が必ず通るわけでもありませんし、仮に希望する部署に配属されても、課内で仕事の割り振りが変わることもあります。
一方で、異動するたびに全て初めから覚え直す必要があるわけでもありません。
予算や会計、物品調達、文書事務など、市役所の中で共通して使う知識を身につけておけば、別の部署へ異動したときにも役立ちます。
特に若手職員は「育成」の側面からも異動が多くなるかもしれません。
それは今後の市役所を担うことを期待されてのことです。
市役所職員として、異動は避けては通れません。
ならばポジティブに、「異動を通していろいろと覚えていこう!」と前向きに考えてみてください。
もしかすると、異動先の仕事の中から、「天職」とも思える仕事に巡り合えるかもしれませんね!
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