市役所で働いていると、避けては通れないのがクレーム対応ですよね。

私自身も、本当に多くのクレーム対応を経験してきました。

もちろん、市民からの意見や苦情の中には、行政サービスの改善につながる大切なものもあります。

こちらの説明不足や、手続きの分かりにくさが原因でお話をもらったときは、「確かにそのとおりだ」と思うことも多々ありました。

ただ一方で、職員個人の努力ではどうにもならない、理不尽に近いクレームもたくさんありました

実際のところ、クレームを入れる人はごく一部です。

でも、クレームを受けると、メンタルは結構消耗するんですよね…。

窓口部署にいたときは、市民から「税金泥棒!」と言われたこともありました。

そこでこの記事では、市役所にクレームが集まりやすい理由、市役所のクレーム対応がなぜしんどいのか、どのようなクレームが特に難しいのか、そして一人で抱え込まないためにどう考えればよいのかを整理してみました。

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市役所は構造的にクレームが集まりやすい

クレームを受けてうつむく男性の画像

市役所は「クレームの宝庫」とも言えるくらい、多種多様なクレームが集まる職場です。

税金、保険料、国保、介護、福祉、子育て、保育園、学校、道路、公園、ごみ、近隣トラブル、公共施設、地域団体、業者対応などなど…。

市役所は、住民生活の広い範囲に関わっているので、結果として幅広いクレームが発生するとも言えますね。

中には、「どこに言えばいいか分からないから市役所に言う」というケースもあるので、業務の範疇の話だけとは限らないのも市役所特有と言えます。

制度上できないことは、職員が最前線で断らなければならない

市役所の仕事は、法令・規則などにより、できることとできないことが決まっています。

しかし実際に、「できます・できません」を伝えるのは、窓口や電話に出ている職員です。

できることを説明する分にはまったく苦にならないのですが、「できないこと」を伝えるときは、納得してくれない市民もいて困ってしまうこともありますね。

中には「市長を出せ!」「上司を出せ!」と高圧的な態度で向かってくる人もいます。

そんなとき、防波堤の役割を担うのも職員です。

会計年度任用職員や窓口委託先の方では難しい判断ができないので、職員が対応することが多いはず。

でも職員が上司を呼ぶのは、ハードルがやや高い側面がありますね。

ここに、市役所職員のしんどさがあります。

相手からすれば、目の前にいる職員が「話の通じないヤツ」に見えているはずです。

そのため、制度への不満や市政全体への怒りが、担当者個人に向いてしまうこともあります

“これも仕事”と割り切る必要はありますが、メンタルは確実に消耗しますね。

窓口部署と総務部署では、クレームの集まり方が違う

窓口で市民対応をする女性の画像

窓口部署と内部向け部署で働いた経験からわかることは、クレームの性質が異なるということです。

特に市民課のような“市役所の顔”となる窓口部署では、本当に多種多様なクレームが来ます。

一方、総務課などの総務部門には、「どの部署にも属さない」ような苦情が回ってきたりします

あなたが今いる部署はどっち寄りですか?

市民課などの窓口部署は、怒りの最初の受け皿になりやすい

市民課などの窓口部署は、来庁者が不満をぶつけやすい部署です。

これは市役所の構造的な問題です。

対象となる市民が多い部署ほど入り口に近い位置に配置されているため、結果的に多種多様な人が訪れることになります。

「市長を出せ!」というタイプのクレームが来るのも、市民課のような窓口が多い印象です。

また、住民票などを取得する“ついで”に、他課の苦情をもらうことも多かったですね。

総務課には、どこにも回せないクレームも来る

市民課などの窓口部署が「怒りの最初の受け皿」になりやすい一方で、総務課などの総務部署には少し違った種類のクレームが来ます。

総務課には、担当課が分からないものや、市役所全体への不満のようなものが回ってくることがあります。

電話での苦情を受けることも多く、電話交換から「どこの課に回せばいいのかわからないので受けてください」と回ってくることもありました。

総務課にいたとき、「いつも駐車している場所に他の車が止まっている。すぐに移動させてくれ」とか「タクシーがずっと来ない。どうしてくれるんだ。」といった苦情が来たこともあります。

総務部署はまた特殊な部署だといえますね。

自治体で特にクレームが強くなりやすい分野

こども関係の部署で窓口対応する女性の画像

様々な業務を抱える市役所では、本当に多種多様なクレームを受けることになります。

市民課や総務課は一期一会のクレームが多い一方、部署によっては同一人物・団体からのクレームが多かったりと、部署によってその傾向が違うのも事実です。

また、クレームの内容も、ライトなものからハードなものまでありますね。

お金が絡むクレームは、生活に直結する

市役所に入るクレームの中でも、特に強くなりやすいのが「お金」に関するものです。

税金、保険料、保育料、国保、介護保険料、負担金、補助金など。

生活に直結する部分なので、負担が増える保険料の値上げなどは感情的な反発が強くなる傾向があります。

介護保険料が上がった年は「高齢者は死ねということか」という、切実な声を聞くことが多かったです。

職員側としては、制度や計算方法、所得状況、条例や規則などに基づいていることを説明するしかありません。

ただ、「こういう理由で決まりました」と説明しても、納得してもらえないことも多いです。

説明する側としてはつらい気持ちになりますね。

できる限り、相手の側に立った丁寧な説明を心掛けたいところです。

子どもが絡むクレームは、保護者の不安が強くなりやすい

「子ども」に関するクレームも、非常に強くなりやすい分野です。

保育園、学童、学校、いじめ、発達、給食、通学路、園や学校の対応。

これらは、保護者にとってとても切実な問題ですし、行政側としても、軽く扱うことはできません。

子どものことになると、自分のこと以上に不安や怒りが強くなるのは自然なことだとも思います。

私自身も、子どものことで市役所に苦情を言ったことがあります。

ただし、保護者の不安を受け止めることと、すべての要求を受け入れることは当然別の問題です。

保育園に入れない・希望園に入れないクレームは特に強い

子ども関係の中でも、保育園の入園に関するクレームは特に強くなりやすいです。

  • 保育園に入れなかった。
  • 希望する保育園に入れなかった。
  • きょうだいが別々の園になった。
  • 通勤経路とまったく合わない園になった。
  • 仕事復帰に間に合わない。

保護者にとって、保育園の入園は、仕事復帰、家計、送迎、きょうだい関係、生活リズムなどに直結する問題です。

職員側としては、点数や選考基準に基づいて公平に判断するしかありませんが、保護者からすれば「なぜうちが入れないのか」「仕事に戻れないのにどうすればいいのか」という切実な思いを抱えることになります

この温度差が、保育関係のクレーム対応を難しくしています。

保育園の入園は相手の生活そのものに関わるため、どれだけ丁寧に説明しても感情が収まらないこともあります。

特に保育園の入園決定通知を送付する時期が近づくと、担当部署の同僚がナーバスになっていたのは印象的です。

気持ちとしては、希望する保育園に全員を通わせてあげたいと思いつつも、キャパシティという現実問題との間で苦悩するのは職員も同じなんですよね。

事業所など、制度を知っている相手からの要求は厳しい

保育園だけでなく、福祉施設や介護事業所などの管理監督も市役所の仕事のひとつです。

当然ですが、実際の業務を行っている事業所のほうが、現状をよくわかっています

そのため、市役所への要求も強いものになりがちです。

複数の自治体にまたがって事業を行う事業所などは、他自治体の情報を持っていることもあって、「他市ではこうしているのに」と言われることもありました。

正直、情報量としては、自治体職員よりも現場の管理者のほうが詳しいことも多いですね。

現場の声だけあって、市役所に要求してくる内容は貴重なものが多いです。

一方で、「市役所は現場を何も知らない」と、職員を下に見てくる人も稀にいて、やけに横柄な要求をしてくることもありました。

今後も継続して協力体制を築く必要がありますし、時には市役所の要求を呑んでもらうこともあります。

できないことは「できない」と伝えることも大事ですが、結構気を遣う相手でもありますね。

公共施設や団体対応では、公平性との板挟みになる

公共施設をめぐるクレームも、自治体では対応が難しいものの一つです。

たとえば、長年その施設を利用している団体や、地域活動に関わっている団体から、

  • 自分たちを優先してほしい
  • これまでどおり使わせてほしい
  • 市に協力しているのだから配慮してほしい
  • 前は使えたのに、なぜ今回はだめなのか

などと言われたことが何度もあります。

職員側も、彼らの長年活動してきた実績や、地域への貢献がわかっている分、「制度ですから」で終わらせられない悩みを抱えることがあります。

しかし、公共施設は特定の団体だけのものではありませんし、新しく利用したい人や、他の団体との公平性もあります。

制度の解釈次第では対応できそうなことだったとしても、一つの団体を特別扱いすれば、別の団体から「なぜあの団体だけ優遇されるのか」と言われることもわかりきっています。

このように、公共施設や団体対応では、「今後の関係」と「公平性」の間で板挟みになりやすいのも、自治体職員の悩みですね。

関係性を大切にしながらも、できないことはできないと伝えなければならない。

ここにも、市役所のクレーム対応の難しさがあると言っていいでしょう。

クレームには、対応しやすいものと本当に難しいものがある

法令集を開きながらクレーム対応を考える男性の画像

「税金泥棒」系の言葉は、真に受けすぎなくていい

クレーム対応というと、怒鳴られることや強い言葉を受けることが一番大変だと、一般的には思われるかもしれませんね。

もちろん、「税金泥棒」とか「公務員のくせに」といった言葉を受けるのは、決して気持ちのいいものではありません。

でも、これらの言葉は、言ってしまえばただの悪口です。

メンタルが削られないわけではありませんが、真に受けないことで対応できる場面も多いです。

相手の言葉をすべて自分への評価として受け止めてしまうと、心が持ちませんからね。

うまく気持ちを切り替えられるといいですね。

慣れたいわけではないものの、これらの言葉には、あまり惑わされなくなる職員も多いです。

数年も経験すると、「説明だけはしておこう」と冷静に対応できることも多いですね。

本当に難しいのは、制度や法律を突かれるクレーム

むしろ大変なのは、制度の細かい部分や法的根拠を突かれるケースです。

公務員といえども、すべての制度に精通しているわけでも、法令を覚えているわけでもありません。

担当業務であっても、細かい解釈、過去の経緯、他部署との関係、国や県の通知、他自治体の運用まで含めると、その場で明確に答えられないことの方が多いです。

  • その手続きの根拠は何か
  • 条例のどこに書いてあるのか
  • 要綱ではこう読めるのではないか
  • 他市ではこうしている
  • 前任者はこう言っていた
  • 市としての見解を示してほしい

こうした話になると、担当者がその場で即答するのは簡単ではありません。

特に若手職員や異動直後の職員にとっては、いきなり法的根拠や過去の運用を問われても、その場で完璧に答えるのは難しいと思います。

分からないことは、無理に即答しない

制度や根拠を問われたときに一番避けたいのは、焦ってその場で断定してしまうことです。

確証がない中で、「できます・できません」を伝えたりするのは危険です。

また、「たぶん・おそらく」などの曖昧な表現も、後から問題になることがあります。

あやふやな根拠の中で、その場しのぎの対応は悪手です。

分からないことは、確認してから回答するのが鉄則です。

これはクレームだけの話ではありませんが、不正確な回答を避けるのは、むしろ誠実な対応と言えます。

文書で回答を求められるクレームは重い

クレーム内容を書き留める男性の画像

クレーム対応の中には、「文書で回答してほしい」と求められるケースもあります。

これ、現場としてはかなり神経と時間を使う対応になるかもしれません。

文書回答を求められても、すぐに受けないでください。

口頭であれば、その場の説明で一定程度終わることもあります。

しかし、文書で回答するとなると話は別です。

文書は後に残りますし、公的なものとして別のところで引用されることもあります。

文書回答するかは上司の判断を仰ぐようにしましょう。

その場で安易に「文書で回答します」と約束しない

文書回答を求められたときに、担当者がその場で安易に「文書で回答します」と約束するのは危険です。

  • 文書回答が必要な案件なのか
  • どの範囲まで答えるのか
  • どの役職名で出すのか
  • 他部署に影響しないか
  • 法令、条例、要綱、通知、過去の経緯を確認する必要があるか

こうした点を整理したうえで、組織として対応する必要が出てきます。

文書回答を求められた場合は、最低でも、いったん持ち帰るのが安全です。

文書は再質問や反論の材料になることもある

文書で回答すれば、必ず相手が納得するわけではありません。

むしろ、文書として残ることで、その表現や根拠をもとに、さらに質問や反論が続くこともあります。

「なぜこの根拠なのか」、「回答が不十分ではないか」などと、文書回答が次のやり取りの入口になることもあります。

だからこそ、文書回答は慎重に扱う必要があるのです。

市長宛ポストがある自治体も多いですよね。

クレームではありませんが、市長宛の手紙への返答を作成するのも大変です。

文書回答はこれと同じような手順を踏む必要が出てくるため、多大な時間を取られることにもなりかねません。

できないことはできないと伝えていい

市役所のクレーム対応では、相手の話を丁寧に聞くことも大切です。

誠実に話を聞くだけでも、相手の怒りが収まることも多々あります。

しかし、過度な要求に対しては違います。

制度上できないことや、他の市民との公平性を損なう対応は、どれだけ強く求められても受け入れることはできません。

話を聞くことと、要求を認めることは別です。

毅然と対応することは、冷たくすることではない

ここで大切なのは、毅然と対応することです。

できないことは「できない」と、しっかり伝えることが大事になってきます。

ここで大事なのは、相手を突き放すわけでも、強く言い返すことでも、ましてや相手を論破することでもありません。

話は聞くし、説明もします。

必要な案内もします。

それでも、できないものはできないと線を引くことが大事なのです。

同じ要求を繰り返す人には、組織として対応する

複数人でクレーム対応する画像

市役所には、同じ内容の申し出を何度も繰り返す方や、対応が長時間化しやすい特定の市民がいることもあります。

いわゆる「クレームの常連」のような人ですね。

何度「できない」と伝えても、あの手この手で要求に来ることもあります。

初めて対応する職員の中には、強い口調で言われると萎縮してしまう人がいるかもしれません。

まずいと思ったら、一人で判断せず、早めに上司や周囲の職員に助けを求めてください。

過去の経緯や対応方針が共有されていることがある

こうしたケースでは、過去の経緯や対応方針が、係内や課内で共有されていることも多いはずです。

大事になるのは、次のような考え方です。

  • 担当者によって対応がぶれないようにする
  • 若手職員が一人で抱え込まないようにする
  • 過去の経緯を踏まえて、組織として一貫した対応をする

“組織全体として対応する”という心構えが大事になります。

最近は、過度なクレームに対する自治体の対応も変わってきている

以前は、市役所のクレーム対応というと、職員がとにかく我慢して話を聞くもの、という空気が強かったです。

「市民は神様」ではないですが、なかなか“No”と言えない空気があったのも事実ですね。

ただ、最近はこの流れが変わってきていて、市役所が“働きやすい職場”に近づいているのを実感します。

最近は、カスハラとして組織対応する流れがある

最近は、過度なクレームやカスタマーハラスメントについて、職員個人の我慢ではなく、組織として対応する流れが強くなっています

東京都では、東京都カスタマー・ハラスメント防止条例が2025年4月1日に施行されました。

また、国でもカスタマーハラスメント対策を事業主に義務づける制度整備が進んでいます。

自治体単位でもこの流れは顕著で、窓口にカスハラ対策のポスターを貼っている市役所も多いですし、中には通話を録音できるようにしたり、職員の名札をひらがなの苗字とローマ字に変更している自治体もあります。

つまり、クレーム対応は「担当者が一人で耐えるもの」から、「組織として線を引いて対応するもの」へ変わりつつあるのです。

これは、実際にクレーム対応する職員にとって大きな意味があります。

もちろん、正当な意見や苦情は丁寧に受け止める必要があります。

ただ、職員の人格を否定する言動や、制度上できないことを長時間求め続ける行為にしっかり線引きをして対応できるようになるのは、とても大きな進歩ですね。

体感として、市民の意識も変わってきた印象があります。

かつては市役所の職員は“働かない”から“何を言ってもいい”と思っている人もいましたが、今はそういう人が極端に減っている気がします。

クレーム対応で自分を守るためにできること

クレーム電話を受けながら内容をメモする男性の画像

私自身は、窓口や総務の仕事を通して、ある程度クレームに慣れてしまった部分があります。

それでも、クレーム対応は緊張しますし、注意して対応していました。

中には、長く引きずってしまうようなクレームがあったのも事実です。

感情的な言葉と、確認すべき論点を分ける

クレーム対応でしんどくなったときは、まず感情的な言葉と、確認すべき論点を分けることが大切です。

決して簡単なことではありませんが、相手が怒っているからといって、すべてが自分の責任とは考えないようにしてください。

  • 何に怒っているのか
  • 制度上、確認すべき点は何か
  • こちらの説明が不足している部分はあるか
  • 制度上できないことへの不満なのか
  • 通常の苦情を超えていないか

このように分けて考えるだけでも、冷静になれますし、必要以上に自分を責めずに済みますよ。

できること・できないことを整理する

すでに何度か書きましたが、「できることとできないこと」を整理するのも大切です。

市役所では、制度上できることとできないことがあります。

できないことは、丁寧に、しかし曖昧にせず伝えるようにしましょう。

「話を聞くこと」と「要求を受け入れること」は違います。

ここをはっきりさせておかないと、対応が長引くかもしれません。

できないことを要求し続けられたときは、「これ以上お話できることも、提案できることもありません。」と、話を切り上げることも大切ですね。

不明確なことは即答しない

こちらもすでに説明したように、法令、条例、要綱、過去の経緯などを調べる必要があるときや、他部署との調整が絡むときは、その場で答えず確認してから回答する方が安全です。

即答できないことは、無理に答えないほうがいいです。

即答できないことで相手の怒りを買うことはあるかもしれませんが、不正確な回答をするより、確認してから回答する方が、相手に対しても誠実ですし、なにより職員自身にとって安全です。

対応内容を記録に残す

記録を残すことも重要です。

いつ、誰から、どのような申し出があり、こちらがどう回答したのか。

記録を残しておけば、同様の申し出に対して統一された回答ができますし、同じような話が多ければ優先順位を高めて改善することもできます。

また、「誰から」の申し出なのかも記録しておけば、過去の経緯を把握しつつ対応することもできます。

残した記録は情報公開の対象になるので記録の残し方には注意が必要な一方で、場合によっては職員自身を守る根拠になることもあります。

都度、記録を残すことは大変ですが、自身や同僚を守るためにも検討してみてください。

上司や周囲に早めに共有する

クレーム対応は、一人で抱える必要はありません。

当然、同僚や上司が見守る中での対応になるので、周りも状況は理解できます。

とはいえ、「言った言わない」といった問題にさせないためにも、複数人での対応が理想です。

そのうえで、クレームを受けた後は、記録に残す以外にも、上司や同僚に状況の説明をしておきましょう。

場合によっては、組織として対応する必要が出てくることもあります。

特に、上司が“知らなかった”という状況だけは作らないようにしておいてください

それでもつらいときは、一人で抱え込まない

クレーム内容をひとりで抱え込んでうつむく男性の画像

うまく対応できたとしても、心無いクレームに傷つくこともあります。

上司や同僚に報告をしても、心のモヤモヤが消化できるとは限りません。

心身に影響が出ているなら放置しない

クレーム対応で心身に影響が出ているなら、放置しない方がいいです。

クレームが原因で出勤しにくくなっていたり、電話や窓口が怖くなっていたりする場合の他、休日もクレームのことを思い出したり、強い言葉を受けた場面が頭から離れない場合は、あまり無理をしないでください。

そのまま放置しておいても、心は傷ついたままになるかもしれません。

まずは上司・人事・産業医などに相談してみよう

まずは、上司や周囲に相談してみましょう。

これはクレーム内容の報告ではなく、クレーム対応が精神的に苦しい状況を理解してもらうための相談です。

まずは係長や課長に相談し、状況によっては人事や産業医の面談を受けるのも大切です。

相談したからといって、すぐに状況が変わるとは限りませんが、状況を理解してもらうと同時に、配慮してもらうことが可能か確認できる場面でもあります。

少なくとも、クレームに苦しんでいる現状を一人で抱え込まないでください。

第三者に相談もOK|ただし守秘義務には注意を

家族や友人に話すことも、気持ちを整理する助けになります。

ただし、業務上知り得た個人情報や具体的な案件の内容は話さないように注意しましょう。

また、「誰かに相談したいけど、身内に相談はちょっと…」という方は、第三者に相談するサービスの利用もアリです。

相談内容と相談先をまとめた記事がありますので、参考にチェックしてみてください。

限界なら、異動・休職・転職も選択肢に入れていい

クレーム対応が多い部署で心身を削られ続けているなら、異動希望を出してもいいと思います。

それでも状態が回復しないなら、病気休暇や休職を検討することも選択肢になります。

休むことは、逃げではありません。

限界を超えて働き続けると、回復に時間がかかることもあります。

「クレーム対応で苦しいとは言いにくい」と考える人は多いですが、だからこそ「まだ大丈夫」だと思いがちです。

また、異動しても改善しない場合や、組織として守られていないと感じる場合は、他自治体への転職や別の働き方を考えることも選択肢に入れてよいと思います。

同僚のケースワーカーは、担当する受給者からの過度な要求に苦しんで、結果的にお酒に逃げてしまいました。

酔っぱらって仕事に来るなど、現実逃避を誤った形で行っていました。

今の状況に悩んでいるなら専門家に相談してみよう

多くの市役所職員が「今のままでいいのかな…」と悩んでいるのは事実です。

実際、退職者数は近年増えており、20代・30代の自治体職員(都道府県職員を除く)の退職者数は年間2万人を超えました

過去10年間の自治体公務員の普通退職者数のグラフ
総務省「地方公務員の退職状況等調査」から抽出・計算

もはや市役所職員の退職は珍しいものではなくなってきているのです。

また、中には退職まではいかずとも、今のキャリアに悩んでいる人が多いのも事実です。

「このまま定年まで働くイメージがわかない」
「自分の強みがわからない」
「今の仕事を辞めたとしても他に何がやりたいかわからない」
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こういう思いを抱いてモヤモヤしている方は、ぜひ専門家に相談してみましょう。

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また、今の苦しい胸の内を整理するには、カウンセリングを受けるのも有効です。

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詳しくは、公務員が仕事の悩みを相談する先をまとめた記事がありますので、そちらも併せてご覧ください。

Q&A

Q&Aを開いて確認する
クレームを受けたら、すべて丁寧に対応しないといけませんか?

正当な意見や苦情には、丁寧に対応する必要があります。

ただし、すべての要求を受け入れる必要はありません

制度上できないことや、他の市民との公平性を損なう対応は、どれだけ強く求められても受け入れられないことがあります。

話を聞くことと、要求を認めることは別です。

できないことは、丁寧に、しかし曖昧にせず伝えるようにしましょう。

制度や法律の根拠を聞かれて、その場で答えられないときはどうすればいいですか?

無理に即答しなくて大丈夫です。

法令、条例、要綱、過去の経緯、他部署との調整が関係する場合、その場で正確に答えられないことはあります。

曖昧なまま「たぶん」「おそらく」で答えると、後からトラブルになることもあります。

「正確な根拠を確認したうえで回答します」
「担当者個人で即答できる内容ではないため、組織内で確認します」

このように、確認してから回答する方が誠実ですし安全です。

文書で回答してほしいと言われたら、すぐ約束してもいいですか?

その場で安易に約束しない方がいいです。

文書回答は後に残ります。

相手が再質問や反論の材料にすることもありますし、市としての見解とされます。

文書回答を求められた場合は、まず上司に相談し、回答の必要性、回答範囲、決裁、他部署への影響などを確認した方がいいでしょう。

「文書での回答が可能かどうかを含め、組織内で確認します」といった形で、いったん持ち帰るのが無難です。

同じ人から何度もクレームが来る場合はどうすればいいですか?

一人で抱え込まないことが大切です。

同じ内容の申し出が繰り返される場合、過去の経緯や対応方針が係内・課内で共有されていることがあります。

初めて対応する職員が一人で判断すると、対応がぶれたり、相手に新しい期待を持たせてしまったりすることもあります。

早めに上司や周囲に確認し、必要に応じて組織として対応することが大切です。

クレーム対応で心身に影響が出ている場合は、誰に相談すればいいですか?

まずは、係長や課長など身近な上司に相談してみてください。

これはクレーム内容の報告ではなく、「クレーム対応が精神的に苦しい」という状況を共有するための相談です。

眠れない、出勤前に動悸がする、電話や窓口が怖い、休日もクレームのことを思い出す。

こうした状態が続く場合は、人事課、産業医、職員相談窓口などに相談することも選択肢です。

家族や友人に話す場合は、個人情報や具体的な案件の内容は避け、自分の気持ちを中心に話すようにしてください。

市役所のクレーム対応がしんどいのは、自分が弱いからですか?

弱いからではありません。

市役所は、税金、保険料、福祉、介護、保育、学校、道路、ごみ、公共施設など、住民生活の幅広い分野に関わっています。

そのため、制度への不満や生活上の不安が、市役所の窓口や電話に向かいやすい構造になっています。

クレームを受けたからといって、必ずしもあなたの対応が悪かったわけではありません。

まずは、受け止めるべき意見なのか、制度上できないことへの不満なのかを分けて考えることが大切です。

まとめ:クレーム対応で消耗するのは“弱いから”ではない

夕暮れ時に役所の前を歩く男性の画像

市役所のクレーム対応がしんどいのは、怒鳴られるからだけではありません。

市役所には、住民生活のあらゆる不満が集まるため、内容は多岐にわたり、対応を一概に決めておけないのも市役所のクレームの特徴です。

そして何より、市役所は構造的にクレームが集まりやすい場所です。

クレームを受けたからといって、必ずしもあなたの対応が悪かったわけではありません。

クレーム対応で大切なのは、受け止めるべき意見と、線を引くべき要求を分けることです。

まずは次のことを意識してみてください。

  • 正当な意見は受け止める
  • しかし、できないことはできないと伝える
  • 分からないことは確認してから回答する
  • 必要な場合は記録を残し、組織として対応する

市役所のクレーム対応で心が削られるのは、決して“弱いから”ではありません。

一人で抱え込まず、できないことはできないと伝え、必要なときは組織や相談先を頼ってください。

それが、市民に対しても、職員自身に対しても、誠実な対応だと思います。

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