市役所で働いていると、誰もが一度は「この市役所はもうダメだ。組織がひどすぎる。」と考えたことがあるのではないでしょうか。
その考えの延長線上に「他自治体への転職」があるわけですが、他自治体転職は職場の印象が良くないのも事実です。
では、正当な権利である「他自治体転職」はなぜ印象が悪くなりがちなのか、今回はそのあたりを解説していこうと思います。
そのうえで、
- どんな理由なら納得されやすいのか
- 本当にしんどいときはどう考えたらいいのか
- 転職先の自治体の本音
なども紹介していきます。
他自治体転職は決して悪いことではありません。
印象が悪くなる理由を理解してしまえば、それほど気にする必要がないこともわかりますよ!
なぜ「他自治体転職」は印象が悪くなりやすいのか
他自治体に転職した職員がいると、職場内で「あの人〇〇市に転職したらしいよ。」という情報が駆け巡ります。
これが近隣自治体だと「わざわざここを辞めていく必要あったの?」と辛らつな意見を聞くことも多くありました。
なぜこんなにも他自治体に行くことが嫌がられるのでしょうか。
「今の環境から逃げた」と思われてしまう

基本的にどの市役所でも扱う業務はほぼ変わりません。
同じ業務を行う「同業他社」に行くのと変わりませんので、「わざわざ転職する必要あるの?」と思われても仕方のない部分はあります。
そして、一番大きいのは「結局逃げたんでしょ」と思われがちだということ。
ただし、「逃げた」と捉える人も「今の職場環境を逃げ出したい」と考えているからこそ、そのように思ってしまうんですね。

実際、逃げ出したくなるような自治体があるのは事実です。
まだまだ終身雇用前提の文化が根強い
近年は市役所の退職が珍しくないとはいえ、それでも辞める人は決して多くはありません。
民間と比べても離職率は低く、辞めた人の動向が気になる程度の退職者しかいないのも事実です。
「せっかくうちの市役所に就職したのに」という思いから、悪い印象を持つ人がいるわけです。
せっかく育てた人材が「よそ」に持っていかれる

年齢や役職が上がるにつれて「せっかく成長してきたのに」と、退職した人に対して悔しい思いを持つ人が多いのも事実です。
先輩として業務のイロハを教えていたのに、他自治体に転職してしまう後輩を手放しで喜べる人が少ないのもうなずけますね。
「退職するなら印象が悪くなっても構わない」は本当か
「どうせ辞めるんだから印象が悪くなっても気にしなくていい」という意見もあります。
確かに「旅の恥は搔き捨て」ではないですが、辞めたあと「どのように思われても構わない」というのも一理あります。
実際、辞めてしまったら悪印象への対処もできません。

そもそもですが、日々業務に追われる市役所では、辞めた人のことなどすぐに思い出さなくなります。
そもそも退職自体に良い印象を持たれにくい
職場に残る側の人間としては、退職する人を手放しで応援できるのは定年退職や、納得できる理由のある退職などに限られます。
基本的に「自己都合退職=良い印象を持たれにくい」と思っていた方がいいでしょう。
結局のところ、辞める職場からの印象を気にしても仕方がないとも言えます。
これは他自治体転職でも同様で、「良い印象を持たれたまま退職したい」という思いを捨てるだけで気持ちはずいぶんと楽になりますよ。
市役所の世界は「意外と狭い」

ただし気を付けたいのは、近隣自治体への転職です。
市役所の世界は「近隣自治体との競争と協同」といった側面があります。
つまり、近隣自治体はよきライバルであり、仲間なのです。
近隣自治体に転職すると、研修や会議の場で前の職場の職員と顔を合わせる可能性が高くなります。
前の職場の職員と顔を合わせるたび、「会議で〇〇さんに会った」と前の職場で話題に出ることは覚悟する必要があります。
転職先の自治体からの印象はむしろ「即戦力」

では、転職先の自治体からはどう見られるのでしょうか。
結論としては、「かなり期待されている」と考えてください。
公務員としての基本的なルールを理解しているため、一から教える必要がなく、即戦力としての期待値が高いです。

「別の自治体で働いていた人」が入庁するとわかったら、どの部署も欲しがりますね!
ただし、必ず聞かれるのは「なぜ転職してきたの?」
転職したあと、新しい同僚に聞かれるであろう質問が「前はどんな仕事をしていたか」です。
話の中で「以前〇〇市役所に勤めていました。」と伝えると、興味を持たれるのが「なぜ前の自治体を辞めたのか」です。
もちろん退職理由は他自治体転職の面接でも聞かれる必須事項です。
基本的には面接で答えた内容をかみ砕いて伝えればいいわけですが、正直に「前の職場の悪口」を理由とするのは避けた方が賢明です。
ネガティブな理由で転職したことを伝えると、スタートの印象が悪くなる恐れがあります。
どのような理由なら他自治体転職の印象が悪くないのか

他自治体転職のすべてが「悪印象」を抱かせるわけではありません。
正当な理由があれば、退職後の印象も変わりませんし、場合によってはむしろ良くなることだってあります。
では、どのような理由の他自治体転職が悪印象を抱かせないのでしょうか。
納得されやすい(悪印象になりにくい)パターン
たとえば、次のような理由は受け入れられやすい傾向があります。
- 地理・生活環境に関するもの
- 住んでいる自治体と勤務先が違い、生活環境を整えたい
- 結婚・出産・介護などで生活の拠点が変わる
- 地元に戻る(Uターン)
- 家族の事情
- 配偶者の転勤に伴い、転居先の自治体で働きたい
- 実家の近くで生活したい
- キャリアのステップとして理解しやすいもの
- 県庁でより広域な行政に携わりたい
- 政令市で専門分野を深めたい
これらは、「どこで、どんな仕事をしたいか」という前向きな理由として説明しやすいです。
結局嫌われるのは「今の自治体が嫌だから」という理由の転職
前向きな理由による他自治体転職であれば、それほど悪い印象を抱かせることはありません。
結局のところ、「今の自治体が嫌だから」という理由が透けて見える他自治体転職だと、残る職員からの印象が悪くなってしまうのです。
前向きな理由を把握しにくい転職の場合、どうしても「この自治体が嫌だから転職した」と捉えられがちです。
このような意味のない「悪印象」を抱かせないためにも、説明できる理由を用意しておきましょう。

規模も同じくらいの近隣自治体への転職は、転職理由が伝わりにくいので、「今の自治体が嫌だから転職した」と思われてしまうケースが多いように思います。
転職の前に「異動で解決できないか」は一度考えてみる
もし、今いる自治体に不満があって他自治体に転職を考えているのであれば、一度冷静に考えてみる必要があります。
「今の部署の仕事が合わない」「業務内容がしんどい」などが主な理由なら、異動希望など今の職場内でできる手段も検討してみてください。
今の状況に悩んでいるなら専門家に相談してみよう
多くの市役所職員が「今のままでいいのかな…」と悩んでいるのは事実です。
実際、退職者数は近年増えており、20代・30代の自治体職員(都道府県職員を除く)の退職者数は年間2万人を超えました。

もはや市役所職員の退職は珍しいものではなくなってきているのです。
また、中には退職まではいかずとも、今のキャリアに悩んでいる人が多いのも事実です。
「このまま定年まで働くイメージがわかない」
「自分の強みがわからない」
「今の仕事を辞めたとしても他に何がやりたいかわからない」
「そもそも辞める・辞めないの判断ができない」
こういう思いを抱いてモヤモヤしている方は、ぜひ専門家に相談してみましょう。
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本当に「今の職場が無理」なら、転職は正しい選択
ここまで「印象」の話をしてきましたが、正直なところ、「自分の思いを押し殺してまで我慢する必要はまったくない」のは当たり前のことです。
「今の職場環境に我慢できない」、「一度環境をリセットしないと気持ちが持たない」など、表向きには言いにくい理由でも、あなたが本気で苦しんでいるなら、それは正当な転職理由となります。
その際、「勤めていた職場からの印象」なんてものは、転職を判断する重要なファクターでは決してありません。
印象が良いに越したことはありませんが、自分を守る・自分の思いを形にする方がもっと大事であることを忘れないでください。
今の環境を変えることが重要なら、近隣自治体を含めた「他自治体転職」は決して間違いではありません。
他自治体転職をするなら理由を用意しておこう

とはいえ、「どう見られるか」まったく気にならない人もいないわけで、転職理由をあらかじめ整えておくことはとても大切です。
ウソはよくないものの、本音と建前は社会人にとって必須のスキルです。
- 本音の100%を話す必要はない
- 細かい事情まで丁寧に説明しなくてもよい
という前提で考えてみてください。
たとえば、「生活の拠点を変えたい」、「今後のライフプランを考えて、働く場所を見直したい」といった「生活・働き方」をベースにした説明は、比較的受け入れられやすいです。
同僚への説明でも、
本音7割+言い方の工夫3割くらいのイメージで、「前向きな部分を強めて伝える」程度にしておくのが安全です。
もちろん民間転職の検討もアリ

他自治体転職だけに固執するのではなく、民間企業まで視野を広げてみるのも正しい判断です。
確かに他自治体であれば、慣れ親しんだ業務も多く、比較的安心して転職できますね。
しかし、民間には民間の良いところがあるのも事実です。
今や民間企業のほうがワークライフバランスを取りやすいことも多く、また賃金も民間のほうが良いことも多いです。
転職は人生の岐路になります。
後悔のない選択をするようにしてくださいね。
Q&A
- 地方自治体職員の「自己都合退職」は、どれくらいの割合でしょうか?
退職者全体のうち、自己都合退職の割合は4割程度です。
職員全体から見ると、年0.5%弱なので、200人に1人が自己都合退職をしているイメージです。
ただし個人的には、「もう少し多いかな」というのが実際の体感です。
- 若手の自己都合退職は増えていますか?
若手ほど自己都合で辞める人が増えているのは事実です。
自己都合退職は40歳未満がかなりの割合を占めており、10年前と比べると、20〜30代の退職者数は約2〜3倍になっているデータもあります。
市役所も「一度入ったら定年まで」はもう当たり前ではなく、民間と同じように“合わなければ動く”人が増えている、という流れですね。
- 上司や人事に退職を伝えるとき、どんな理由が無難ですか?
退職理由は「一身上の都合」で十分です。
ただし、他自治体に転職したことなどは、風のうわさで元いた自治体に届くケースが多いです。
他自治体への転職を隠すか隠さないかはあなた次第です。
- メンタル的に限界です。印象が悪くなっても辞めてしまっていいでしょうか?
もしあなたがメンタルの不調を理由に他自治体転職を考えているのであれば、少し待ってください。
公務員には病気休暇や休職といった制度が整っています。
「迷惑をかけたくない」、「環境を変えればメンタルも安定するだろう」という気持ちは理解できますが、慎重に判断しましょう。
- 「他自治体への転職理由」はウソでもいいんでしょうか?
「まったくの作り話をする必要はないけれど、本音100%をさらけ出す必要もない」というのが現実的なラインです。
元の職場をあと腐れなく去りたいのであれば、「人間関係がキツい」、「組織文化が合わない」といった本音は少し隠してもいいかもしれません。
まとめ:印象はコントロール難しいが、選択はあなた自身のもの

他自治体への転職は、「今の環境から逃げた」と思われがちであったり、せっかく育てた人材の流出であったりと、残される側からすると決して気持ちの良いものではありません。
しかし、結婚や出産などの生活環境の変化や配偶者の転勤に伴う引っ越しなど、他自治体転職が納得されやすいケースもたくさんあります。
また、客観的な理由だけでなく、現在の環境に悩んだ末の他自治体転職も決して間違いではありません。
一方で、転職先の自治体からは「公務員経験者」として期待されることでしょう。
どんな理由であれ、退職する人に対して「他自治体に行くなんて印象悪いぞ」と言う人は、きっと一定数います。
でも、その人たちはあなたの人生の責任を取ってはくれません。
あなた自身の人生です。
他自治体転職でどう思われようが、あなたが正しいと思う行動をしてみてくださいね!
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