市役所から他自治体への転職で特に重要なのが、面接などの人物試験です。

面接をする側からすると、すでに自治体業務を経験してきた人が試験を受けに来たのですから、期待している反面、内容が伴わないとガッカリ感が大きくなります。

また、論文、職務経歴書、面接カード、面接は別々の試験に見えて、実際にはつながっていることも多いです。

論文で書いた内容を面接で深掘りされることもありますし、職務経歴書に書いた経験をもとに、個別面接で具体的なエピソードを聞かれることもあるからです。

つまり、人物試験では、自分の経験や転職理由を一貫して説明できるようにしておく必要があるのです。

逆に言うと、一貫性をもって対応できれば、自治体経験がある分、現役公務員の他自治体転職はかなり有利になると言ってもいいでしょう。

そこでこの記事では、市役所から他自治体へ転職したい人に向けて、論文、職務経歴書、面接カード、個別面接、集団面接、グループワークの対策方法を解説します。

人物試験は、試験全体の中で最も重要と言っても過言ではないので、しっかりと時間をとって対策を行いましょう。

なおこの記事は、市役所から他自治体への転職を考えている人向けの「論文・面接対策編」です。

他自治体転職の概要やメリット・デメリットなどをまとめた“基礎編”をご覧いただいたうえで、この記事を読むことをおすすめします。

1:他自治体転職を考えている方にまず読んでほしい記事↓↓

2:他自治体転職のための筆記試験対策↓↓

3:他自治体転職のための論文・面接対策←この記事

番外編:他自治体転職の印象が気になる方向けの記事↓↓

論文・職務経歴書・面接はつながっている

人物試験対策で最初に意識したいのは、論文、職務経歴書、面接カード、面接を別々に考えないことです。

それぞれ形式は違いますが、見られている内容はかなり重なっています。

試験・書類見られやすいこと
論文試験行政課題への考え方、論理性、自治体職員としての視点
職務経験論文これまでの経験、課題への向き合い方、転職先での活かし方
職務経歴書担当業務、実績、役割、経験の整理
面接カード志望動機、自己PR、長所・短所、経験の要約
個別面接転職理由、志望動機、職務経験の深掘り
集団面接簡潔に話す力、他の受験者との比較、受け答えの安定感
グループワーク協調性、発言力、調整力、進行への貢献

たとえば、職務経歴書に「住民対応を担当」と書いた場合、面接では次のように聞かれるかもしれません。

  • どのような住民対応をしていましたか
  • 困難だった対応はありますか
  • そのとき、どのように解決しましたか
  • その経験を当自治体でどう活かせますか

また、職務経験論文で「窓口業務の改善」について書いた場合、面接で改善の具体的内容や、周囲をどう巻き込んだのかを聞かれる可能性もあります。

そのためにも、人物試験対策では、まず自分の職務経験を整理することが大事になります。

そして、それを職務経歴書や論文、面接で一貫して使えるように準備しておきましょう。

職務経歴書や面接カードには、聞いてほしいことを書くことも大事です。

もちろん、事実と異なる内容を書くのはNGですが、自分が強みとして伝えたい経験を中心に書くと、面接で話しやすくなります。

まずは職務経験の棚卸しをしよう

他自治体転職の人物試験対策では、最初に職務経験の棚卸しをします。

現役市役所職員の場合、毎日の仕事が当たり前になりすぎて、初めは自分の経験をうまく言語化できないかもしれません。

しかし、他自治体の採用試験では、現職での経験が大きな武器になりますので、ここは時間をかけてでもしっかりまとめていきましょう

棚卸ししたい項目

まずは、これまでの業務を次のように整理してみましょう。

項目書き出す内容
所属部署どの部署に何年いたか
担当業務どの制度・業務を担当したか
業務量件数、対象者数、予算規模など
対応相手住民、事業者、関係機関、庁内他部署など
苦労したことクレーム、制度説明、調整、期限管理など
工夫したこと業務改善、説明資料作成、進捗管理など
成果ミス防止、時間短縮、住民説明の改善など
学んだこと公務員として身についた視点や姿勢
転職先で活かせること志望自治体でどう役立つか
転職の動機なぜ転職しようと考えたか

数字で表せるものがあれば、できる範囲で入れると具体性が出ます。

たとえば、「窓口対応をしていました」よりも、「年間〇件程度の申請受付や相談対応を担当していました」の方が伝わりやすくなります。

まずは書き出してみることが大事です。

ネガティブな内容でも、とにかく書き出してみましょう。

職務経歴書・面接カードの対策

社会人経験者枠や公務員経験者枠では、職務経歴書や面接カードが重要になります。

これらの書類は、単なる申込書ではなく、面接官があなた自身を知るための材料になります。

また、面接時の質問の材料になるので、面接で聞かれても説明できる内容を書くようにしましょう。

職務経歴書で書くこと

職務経歴書では、次のような内容を整理します。

  • これまで所属した部署
  • 担当した業務
  • 業務の規模や対象
  • 具体的に工夫したこと
  • 苦労したこと
  • 成果や改善したこと
  • 身につけた力
  • 転職先で活かせること

職務経歴書では、できるだけ具体的に書くことが大切です。

ただし、個人情報や内部情報など、外に出してはいけない情報には注意してください。

面接カードでよく聞かれる項目

面接カードでは、次のような項目がよくあります。

  • 志望動機
  • 自己PR
  • 長所・短所
  • これまで力を入れて取り組んだこと
  • 困難だった経験
  • 公務員として大切にしていること
  • 転職後に取り組みたいこと
  • 住民対応で意識していること
  • チームで仕事をするうえで大切にしていること

面接官は面接カードを見ながら質問することが多いです。

そのため、書いた内容については、必ずコピーなどを保存しておき、具体例を話せるようにしておきましょう

ここでは、質問されたい内容を書くことに加えて、回答に対して“追加で聞かれそうなこと”も考えておきましょう

面接では、回答に対して深掘りされることもありますよ!

議会用の想定問答を作るイメージですね。

職務経歴書・面接カードを書くときの注意点

職務経歴書や面接カードを書くときは、次の点に注意しましょう。

  • 現職への不満を書きすぎない
  • 志望先自治体を持ち上げすぎない
  • 抽象的な表現だけで終わらせない(あえて抽象的に書くのはOK)
  • 自分の経験と志望先での活かし方をつなげる
  • 面接で聞かれて困ることは書かない
  • 守秘義務や個人情報に注意する

特に避けたいのは、「今の自治体では成長できない」「人間関係が悪い」「仕事が合わない」といった現職での不満を素直に書くことです。

実際には、そうした事情が転職理由に含まれていることもあるでしょうし、事実、多いとも思います。

しかし書類上では、「現職で得た経験をこう活かしたい」とか、「志望先で何に貢献したい」など、未来志向で書くために、過去の経験を利用しましょう。

論文試験・職務経験論文の対策

社会人経験者枠や公務員経験者枠では、論文試験や職務経験論文が課されることがあります。

行政職として、読みやすい文章を書くことは大事ですが、それ以上に、行政課題をどう捉えているか、自治体職員としてどう考えるか、これまでの経験をどう活かせるかを書くことが大事になります。

特に経験者採用では、「これまでの職務経験を活かした結論」や、「実際に対応してきた経験を活かした、行政課題への考え方」を書けるようにしたいところです。

論文で見られること

論文試験では、主に次のような点が見られます。

  • 行政課題を理解しているか
  • 論理的に考えられるか
  • 自治体職員として現実的な対応を考えられるか
  • 住民目線で考えられるか
  • 現職経験をどう活かせるか
  • 極端な主張や感情論になっていないか

現役市役所職員であれば、行政実務の経験を持っていることは大きな強みです。

現職経験を、学びや今後活かせる経験として書くことが大切です。

よくある論文テーマ

自治体の論文試験では、次のようなテーマが出やすい印象です。

  • 少子高齢化
  • 人口減少
  • 防災
  • 地域福祉
  • 子育て支援
  • デジタル化
  • 行政改革
  • 職員の働き方改革
  • 多文化共生
  • オーバーツーリズム
  • 地域コミュニティ
  • 住民参加
  • 行政サービスの向上
  • 持続可能な自治体運営
  • 官民連携

これらのテーマについて、現状、課題、原因、対応策を整理しておくと、論文だけでなく面接にも役立ちます。

論文の基本構成

論文は、型を持っておくと書きやすくなります。

おすすめは、次の流れです。

構成書く内容
現状テーマに関する社会状況や自治体の状況
課題何が問題になっているのか
原因なぜその課題が生じているのか
対応策自治体として何をすべきか
自分の経験現職経験をどう活かせるか

たとえば、人口減少がテーマであれば、まず人口減少や高齢化により、地域コミュニティ、公共交通、福祉サービス、地域経済などに影響が出ていることを整理します。

ここで受験する自治体の状況を加えられれば最高です。

次に、自治体として何が課題なのかを述べます。

そのうえで、住民参加、関係機関との連携、デジタル活用、地域資源の活用など、現実的な対応策を書きます。

最後に、自分の現職経験をどう活かせるかにつなげると、経験者らしい論文になります。

最低限、受験する自治体の基礎的な情報は調査するようにしましょう。

論文作成だけでなく、面接対策にもなりますよ!

職務経験論文では「経験の意味づけ」が大切

社会人経験者枠や公務員経験者枠では、前職でどのような業務をしてきたか、その経験から何を学んだか、採用後にどう活かせるかを書かせる、「職務経験論文」が課されることもあります。

通常の論文では、行政課題への理解や論理性、住民目線、政策的な考え方をベースに書くところですが、職務経験論文では、より“今までの経験をどう活かすか”が重視されます

たとえば、次のような書き方です。

悪い例:

私は窓口で多くの住民対応をしてきました。この経験を活かしたいです。

良い例:

私は窓口業務において、制度の内容を分かりやすく説明することに加え、住民の不安や困りごとを丁寧に聞き取ることを意識してきました。
また、聞き取った内容・回答した内容は表にまとめ、係内で共有したうえで、担当する職員によって回答に偏りが起きないよう調整を行ってきました。
住民に理解してもらえる丁寧な説明を行った経験及び、係として一貫した回答をするための経験は、住民から信頼される行政サービスを提供するうえで活かせると考えています。

同じ経験でも、伝え方によって印象は変わります。

経験そのものの派手さよりも、そこから何を学んだか、どのような姿勢で仕事をしてきたかが大切です。

論文試験・職務経験論文の対策方法

論文対策では、実際に書くことが大切です。

次のように進めるとよいでしょう。

  1. 頻出テーマを選ぶ
  2. 各テーマで現状・課題・対応策をメモする
  3. まずは800字で、時間をかけて書く
  4. 書いた答案を読み返す
  5. 可能なら添削を受ける
  6. 各テーマで作成した論文の骨子を覚える

論文は、事前の準備が重要な試験科目です。

実際に書き始めると、時間が足りなかったり、話がまとまらなかったりすることがわかるはずです。

そこで大事になるのが、各テーマで「書く内容(骨子)を決めておく」ことです。

ベースさえできていれば、実際の論文テーマが若干異なっていても、準備していた内容に話を持っていくことも可能です。

現役市役所職員の場合は、実務経験を少し入れると説得力が出ます。

また、受験する自治体の情報を含めることで、「その自治体の課題を捉えたうえで受験している」とアピールすることもできます。

まずはテーマごとに800字で論文を作成しておき、その内容を記憶しておきましょう。

仮に1200字の論文でも、肉付けすることで対応可能です。

論文対策に使える参考書・添削サービス

論文対策本を選ぶときは、単に模範答案が載っているだけでなく、書き方の型が説明されているものを選ぶと使いやすいです。

他自治体転職者向けの対策本は見当たりませんので、社会人経験者の公務員受験に対応した対策本を活用しましょう。

論文特化の対策本は少ないですが、以下の本は頻出テーマに関する解説が詳しく、また、社会人経験者枠にも対応しているのでおすすめです。

論文だけの対策本ではなく、面接までトータルで解説している本もおすすめです。

たとえば次の本は、論文・面接だけでなく、面接カードまで対応しています。

論文は、参考書を読んだだけでは上達しにくいです。

本で型を学んだら、実際に書いて、添削を受けてみるのもおすすめです。

論文添削を行っている予備校もありますが、添削単体では受けられないところも多いです。

そのため、論文だけ添削してもらうなら、ココナラなどのサービスを活用するのもひとつの手です。

転職理由をどう答えるか

他自治体転職の面接で、ほぼ必ず聞かれるのが転職理由です。

特に、市役所から別の市役所や自治体へ転職する場合、面接官は次のように感じているかもしれません。

  • なぜ今の自治体ではだめなのか
  • また同じような理由で辞めるのではないか
  • 人間関係や不満が理由ではないか
  • うちの自治体で長く働いてくれるのか

そのため、転職理由は慎重に整理する必要があります。

避けたい転職理由

転職理由を説明するうえで、次のような伝え方は避けたいです。

  • 今の職場の人間関係が悪い
  • 今の自治体の仕事がつまらない
  • 上司と合わない
  • 異動が不満
  • 今の自治体の制度や方針に納得できない
  • 通勤がつらいだけ
  • とにかく今の職場を辞めたい

実際、これらが転職を考えるきっかけになっているケースは普通にあることです。

私の同僚の多くも、職場に不満を抱いて別の自治体に転職していきました。

ただ、面接でそのまま伝える必要はありません

正直なのはいいことですが、逃げの転職に見えてしまい、面接官の印象が良くなることはまずありません。

前向きに整理した転職理由

転職理由は、次のように言い換えると、より前向きな方向になります。

本音に近い理由面接での整理の仕方
今の自治体に合わない貴自治体の○○に魅力を感じた
地元に戻りたい改めて地域への理解や愛着を感じている
配偶者・家族の都合生活基盤を整え、長く安定して働きたい
今の仕事の幅が狭いこれまでの経験を活かしつつ、新たな分野にも挑戦したい
人間関係がつらいチームで前向きに働ける環境で経験を活かしたい
扱いに不満がある自分の経験をより活かせる環境を求めている

転職理由を伝える際に嘘をつく必要はありませんが、現職への不満を中心に話すのではなく、志望先でどう働きたいのかをスマートに伝えたいところですね。

志望動機をどう作るか

他自治体転職では、志望動機も重要です。

「なぜうちの自治体なのか」という、面接官の素朴な疑問に答えられるようにしておきましょう。

「どこの自治体でもよいのでは」と見られることで、すなわち不合格になるわけではありません。

とはいえ、「なるほど。だからうちの自治体を受験したのか」と思ってもらえる方が、面接官の印象はいいですね。

志望動機を作る流れ

志望動機は、次の順番で考えると作りやすいです。

  1. 志望する自治体の基本的な情報・特徴を調べる
  2. 自分の現職経験を整理する
  3. 志望自治体の課題・強みと自分の経験をつなげる
  4. 転職後にどう貢献したいかをまとめる

志望する自治体については、ホームページで情報を集めるだけでなく、実際に現地に足を運んでみましょう

実際に自分の目で見てみると、その街の特徴や課題が見えてくることもあります。

また現役公務員として、総合計画、重点施策、予算概要、広報紙、人口動態なども確認できると尚よいです。

調べたことは、ただ情報として持つだけでなく、自分の経験とつなげることを意識してみてください。

個別面接で聞かれやすい質問

他自治体転職の人物試験で、最も重要と言っても過言ではないのが、個別面接です。

個別面接では、事前に提出した面接カードなどをもとに、転職理由や職務経験を深掘りされます。

よく聞かれる質問

市役所から他自治体へ転職する場合、次のような質問を想定しておきましょう。

  • 自己紹介をしてください
  • これまでの職務経験を教えてください
  • なぜ今の自治体から転職したいのですか
  • なぜ当自治体を志望したのですか
  • 今の自治体ではできないことなのですか
  • 現職で最も力を入れた仕事は何ですか
  • 困難だった経験と、それをどう乗り越えたかを教えてください
  • 住民対応で意識していることは何ですか
  • クレーム対応の経験はありますか
  • チームで仕事をするうえで大切にしていることは何ですか
  • 異動になった場合でも対応できますか
  • 採用されたらどの分野で働きたいですか
  • 希望部署でなかった場合はどうしますか
  • 当自治体の課題は何だと思いますか
  • 最後に何か伝えたいことはありますか

特に重要なのは、「なぜ今の自治体ではなく当自治体なのか」という質問です。

ここが曖昧だと、転職理由や志望動機が弱く見えてしまいます。

一貫性をもった回答を作るとともに、その解答に対する追加質問も想定しておきましょう。

個別面接の対策方法

個別面接の対策では、想定質問に対する答えを作るだけでなく、追加質問による深掘りに対応できるようにしておくことが大切です。

たとえば、「住民対応を頑張りました」と答えた場合、次のように深掘りされる可能性があります。

  • 具体的にどのような対応ですか
  • 困った場面はありましたか
  • どのような工夫をしましたか
  • その経験から何を学びましたか
  • 当自治体でどう活かせますか

そのため、質問に対する回答を用意するときは、次の流れで整理しておくと、実際の面接でも話をしやすくなります。

  1. 結論
  2. 具体的な経験
  3. 工夫したこと
  4. 学んだこと
  5. 転職先での活かし方

長く話しすぎるのはよくありませんので、簡潔に説明できるようにまとめておきましょう。

現職への不満を聞かれた場合

面接では、現職への不満や転職理由を聞かれることがあります。

その場合も、正直に話しすぎないほうがいいです。

たとえば、人間関係や職場環境が転職理由に含まれていたとしても、面接では前向きな言葉に変えて伝えたいところです。

現職を否定しすぎず、経験への感謝や学びを伝えたうえで、志望先での貢献につなげられるといいですね。

集団面接の対策

自治体によっては、個別面接の前に集団面接が行われることがあります。

集団面接では、複数の受験者が同時に質問を受けます。

個別面接よりも一人あたりの回答時間が短くなるため、より簡潔に話す力が重要になります。

集団面接で見られること

集団面接では、次のような点が見られます。

  • 質問に対して簡潔に答えられるか
  • 他の受験者の話を聞けるか
  • 落ち着いて話せるか
  • 回答が長すぎないか
  • 協調性があるか
  • 基本的な受け答えができるか

集団面接では、他の受験者の回答が気になるものですが、無理に目立とうとする必要はありません

質問に対して落ち着いて、分かりやすく答えることを意識しましょう。

集団面接の対策方法

集団面接では、回答を短めにまとめる練習をしておきましょう。

自己紹介、志望動機、転職理由、自己PRなどは、30秒から1分程度で話せるようにしておくと安心です。

また、他の受験者と同じような内容になっても気にする必要はありません。

自分の経験に基づいて答えれば、自ずと違いは出ます。

グループワーク・集団討論の対策

自治体によっては、グループワークや集団討論が実施されることもあります。

グループワークでは、受験者同士で話し合い、一定の結論や発表内容をまとめることが求められます。

グループワークで見られること

グループワークでは、目立つ人が評価されるわけではありません。

主に次のような点が見られます。

  • 周囲と協力できるか
  • 自分の意見を分かりやすく伝えられるか
  • 他の人の意見を聞けるか
  • 議論を前に進められるか
  • 時間を意識できるか
  • 役割に応じて貢献できるか
  • 感情的にならずに話し合えるか

自治体職員の仕事では、庁内調整、関係機関との協議、住民説明など、さまざまな場面で協調性や調整力が求められます。

現役の公務員ならば、グループワークは研修で何度も行ってきているはずです。

相手の意見を否定せず、議論をより良い方向に進めることを意識しておいてください。

グループワークは、“実際の現場での対応力”を見ている試験だと考えると分かりやすいですね。

グループワークでの役割

グループワークでは、進行役をすれば必ず高評価を得られるわけではありません。

役割には、主に次のようなものがあります。

役割貢献の仕方
進行役議論の流れを整理する
タイムキーパー時間配分を意識する
書記意見を整理して記録する
発表者結論を分かりやすく伝える
参加者意見を出し、他者の意見を補足する

ここでは、自分ができる役割で、議論に貢献することが大切です。

たとえば、発言が少ない人に意見を促したり、散らかった議論を整理したり、時間が足りないときにまとめ方を提案したりすることも評価につながります。

また、和やかな雰囲気を作ることも大事なポイントなので、議論の場が緊張感にあふれているようなら、うまく場を和ませてあげてください。

ただし、すべての役割を事前に決めるかどうかは、自治体によって違いがあります。

指示があるので、それに従うようにしてください。

グループワークで避けたい行動

グループワークで避けたいのは、次のような行動です。

  • 自分ばかり話す
  • 他の人の意見をすぐに否定する
  • 話し合いにほとんど参加しない
  • 時間を意識しない
  • 議論を脱線させる
  • 結論をまとめようとしない
  • 感情的になる
  • 他の受験者を言い負かそうとする

グループワークでは、正解を一人で出すことよりも、チームとして結論に近づけることが大切です。

よい結論を導き出すのと同等以上に、皆で協力して結論を導き出す“過程”も見られています

自治体職員として、「周囲と協力しながら仕事を進められる人かどうか」、「一緒に働きたいかどうか」が見られていると考えておいてください。

グループワークや集団面接の評価官・面接官は、基本的に自治体職員(課長職以上の管理者)が務めることが多いです。

その点を考慮すると、やはり「一緒に働ける・働きたい」と思ってもらうのは大事ですよね。

グループワークの対策方法

グループワークは、一人での対策が難しい試験です。

ただし、現役の公務員の方は、研修を通して何度もグループワークを行ってきたはずです。

そこで、グループワークに挑むにあたっては、次のことを意識しておきましょう。

  • 自治体の課題について自分の意見を持つ
  • 1分程度で意見を話す
  • 賛成・反対だけでなく理由を言えるようにする
  • 他者の意見を受けて発言する
  • 時間配分を意識する
  • 時間内に結論をまとめる視点を持つ

模擬面接・添削サービスは使うべきか

人物試験対策では、模擬面接や添削サービスを使うか迷う人もいると思います。

結論としては、必須とまでは言いませんが、極力活用したいところです。

特に社会人経験者枠や公務員経験者枠では、面接が重要になってきます。

模擬面接は受ける価値があると言っていいでしょう。

サービスを使う価値がある人

特に次のような人は、添削や模擬面接を検討してみてください。

  • 転職理由の伝え方に不安がある
  • 志望動機がうまく作れない
  • 職務経歴書が抽象的になっている
  • 面接カードを見てもらいたい
  • 論文を添削してほしい
  • 面接で緊張しやすい
  • 本命自治体の試験前に練習したい

模擬面接だけでも利用しよう

予備校や転職支援サービスを使う場合でも、必ずしもフル講座を申し込む必要はありません。

たとえば、論文や面接などを単発利用できる予備校もあります。

ただ、個人的におすすめなのはココナラなどのスキルマーケットです。

スキルマーケットには、論文や面接カードの添削だけでなく、模擬面接を提供している方がたくさんいます。

特に模擬面接は、別の方2人に依頼し、それぞれの言い分をまとめてみることをおすすめします。

3回目の模擬面接は、より指摘が的確だった方に再度依頼し、面接の型を作り込むのが理想です。

模擬面接は、面接カードや職務経歴書とも密接にかかわります。

できれば志望自治体に書類を提出する前に、最低1回は模擬面接をしておくことをおすすめします

働きながら人物試験対策を進めるスケジュール

現役公務員が他自治体を受験する場合、働きながら準備することになります。

そのため、筆記試験対策と同じく、人物試験対策も早めに始めることが大事になります。

特に、職務経験の棚卸し、転職理由、志望動機は、時間をかけてでもしっかり固めたい部分です。

準備は最低でも3か月、しっかりと対策をするならそれ以上の期間が欲しいところですね。

参考に、3か月前から準備をする場合のスケジュール案を以下にまとめました。

時期やることポイント
3か月前職務経験の棚卸しを始めるこれまでの部署、担当業務、苦労したこと、工夫したこと、成果、学んだことを書き出す
3か月前志望自治体の情報を集めるホームページ、総合計画、重点施策、広報紙、予算概要などを確認する
2か月前職務経歴書・面接カードの下書きを作る転職理由、志望動機、自己PR、力を入れた経験を一通り書いてみる
2か月前論文テーマを整理する少子高齢化、人口減少、防災、DX、子育て支援などの頻出テーマを確認する
1か月前書類・論文を修正する内容が抽象的になっていないか、現職経験と志望先での貢献がつながっているか確認する
1か月前個別面接の想定質問に答えられるようにする転職理由、志望動機、職務経験、困難だった経験、自己PRは必ず準備する
2週間前声に出して面接練習をする回答を丸暗記せず、結論→具体例→学び→活かし方の流れで話す練習をする
直前面接カード・職務経歴書を読み返す書いた内容と面接で話す内容にズレがないか確認する
直前逆質問・最後に伝えたいことを整理する志望度や入庁後の貢献意欲が伝わる内容にする

自治体により異なるものの、試験の申込期限は1次試験の1~2か月前であることが多いです。

面接カードなどの提出も、申し込みのタイミングか、または1次試験合格者だけかも、自治体により違います。

このあたりも、過去の採用試験案内で確認しておきたいところですね。

Q&A

Q&Aを開いて確認する
論文と面接は別々に対策した方がいいですか?

論文と面接は、つなげて対策した方がいいです

論文では行政課題への考え方、面接では職務経験や志望動機が見られますが、どちらも「自治体職員としてどう考えるか」「現職経験をどう活かすか」という点では共通しています

論文で整理した行政課題や自分の経験は、面接でも使えますよ。

現職への不満は正直に話してもいいですか?

面接で不満をそのまま話す必要はありません。

今いる自治体に不満を持って転職する場合でも、面接では現職で得た経験と、志望先でどう働きたいかを中心に話しましょう

現職を否定しすぎると、採用後も同じように不満を持つのではないかと思われるかもしれません。

面接回答は暗記した方がいいですか?

丸暗記はおすすめしません。

暗記した回答をそのまま話そうとすると、不自然になったり、質問が少し変わっただけで対応できなくなったりします。

転職理由、志望動機、職務経験などについて、ベースになる内容を決めておき、自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。

これは、模擬面接が効果的です。

模擬面接は必要ですか?

必須ではありませんが、受けることをおすすめします。

特に経験者枠では、面接が重要になります。

「なぜ自治体間の転職をしたいのか」、「どのような経験を積み、どのように活かせるか」を自分の言葉で説明する必要があります。

模擬面接でフィードバックをもらうことで、より自信をもって面接に挑めるはずです。

まとめ:人物試験では、現職経験をどう伝えるかが重要

市役所から他自治体へ転職する場合、人物試験では、現職経験をどう伝えるかが重要です。

論文、職務経歴書、面接カード、個別面接、集団面接、グループワークは、それぞれ形式は違いますが、一貫した内容で進めるべきものです。

これらが一貫した内容でまとめられていることは、相当大きな強みになります。

そのためにも、まずはこれまでの職務経験を棚卸ししましょう

一見地味に感じる日々の仕事の中にも、人物試験で使える経験は多くあります。

職務経験の棚卸しがある程度できたら、転職理由と志望動機を整理していきましょう。

なぜ今の自治体ではいけないのか、なぜ志望先自治体で働きたいのかを前向きに説明できるようにしましょう。

論文では、行政課題を整理し、自分の経験とつなげたフォーマットを用意することをおすすめします。

複数のテーマでフォーマットを用意するのは大変ですが、しっかりと対策しておくと、想定していないテーマで出題されても対応できるはずです。

面接では、職務経歴書や面接カードに書いた内容をもとに、具体的な経験、工夫したこと、学んだこと、転職先での活かし方を話せるようにしておきましょう。

他自治体転職の人物試験では、特別な実績がなければ評価されないわけではありません。

大切なのは、これまでの市役所経験を整理し、自分の言葉で伝えられるようにすることです。

筆記試験対策と並行して、早めに職務経験の棚卸し、転職理由、志望動機、面接練習を進めていきましょう。

健闘を祈ります!

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