早いもので、市役所を退職して1年が経ちました。
今のところ、市役所を辞めたことに大きな後悔は感じていませんが、退職した当初はかなり不安だったことを昨日のことのように覚えています。
後悔はしていないものの、「辞めて正解」だったかどうかは、正直判断しにくいとも感じています。
ただ、もし今も市役所に勤めていたら、言葉では表現できない重苦しい気持ちを抱え続けていたんだろうと思うのも事実です。
市役所を辞めても悩みが全部なくなったわけではないですし、辞めてから改めて市役所勤めのありがたさを感じたこともたくさんありました。
そこで今回は、市役所を辞めて1年経った今だからこそ感じている「素直な気持ち」を書いてみようと思います。
辞めた直後は、不安とともに挑戦する気持ちが大きかった

振り返ってみると、辞めた直後は不安と解放感の両方がかなり大きかったのを覚えています。
新しい道に進む以上、将来に不安があるのは当然ですが、「本当にこれでよかったのか」、「この先ちゃんとやっていけるのか」といった葛藤に、退職後改めて襲われたんですね。
一方で、「これからやってやるぞ!」という将来への期待感も同時に抱いていました。
新しいことに挑戦する前向きな気持ちは、久々に感じた熱さで、市役所に勤め始めたときと似た感情だった気がします。
最大の変化は“公務員としての見えないプレッシャー”からの解放

市役所を辞めた理由は数多くありますが、理由のひとつに「気持ちが離れていた」ことがあるのも事実です。
今思うと、公務員というプレッシャーを人一倍感じていたのかもしれないとも思うのです。
というのも、退職してからの最大の変化は「心の安定」だったから。
勤めているときは「そういうもの」と受け入れていた“公務員としての正しさ”が想像以上にきつかったのだなと、今になって思うのです。
誰かに言われたわけではないプレッシャー
「公務員としての在り方」は、研修などを通して学ぶことはありますが、そこまで本気で受け止めているつもりはありませんでした。
でも、知らず知らずのうちに“あるべき公務員像”に縛られていたと、今では感じるんですね。
これは上司から言われたわけでもなければ、職場全体が極端にそういう空気だったわけでもなく、単に自分自身が“知らず知らず”育ててしまったのだと思います。
性格的な部分が大きい気がしますが、人によっては“あるべき公務員像”に、勝手にプレッシャーを感じてしまうのかもしれませんね。
現に私自身がそうだったのだと思います。
仕事中の振る舞いにも「正しさ」を求めていた
市役所職員は常に市民に見られている立場です。
これは文字どおり、市役所は基本オープンで、誰でも働いている職員の姿を見ることができます。
こうした環境は無意識に「きちんとしていなければならない」と思わせるに十分な効果があります。
周りの人は、そこまで強く意識して働いていたようには見えませんし、もちろん周りの人も私がそこまで気を張っているようには見えていなかったと思います。
これも「知らず知らず」受けていたプレッシャーだったのだと、辞めてから初めて感じた部分です。

私は無意識にですが、「ちゃんとしなければ」という意識が少し強すぎたのかもしれません。
辞めてから初めて、その重さに気づいた
在職中は、特にプレッシャーに感じていたわけでもなく、もちろん自覚もしていません。
それは入職当時からの「当たり前」であって、「そういうもの」だと思っていましたので、意識することすらありませんでした。
でも辞めてみると、「自分は思っていた以上に公務員像にとらわれていたんだな」と思うようになりました。
常にどこかで「正しくしていなければならない」と考えていた状態から解放されたことで、間違いなく気持ちはかなり軽くなりました。
退職後、メンタルは大きく安定した

メンタルを崩している自覚はなかったものの、市役所を辞めてからというもの、毎日が穏やかさに満ちているのを実感しています。
特に大きいのは、朝の気分と、種類の異なる様々な仕事のことを考える苦しさがなくなったことです。
朝の憂うつさがなくなった
市役所を辞めたことで一番感じた変化は、朝のけだるさがなくなったこと。
在職中は毎朝「また一日が始まってしまった…」と感じていましたが、それがピタリとなくなったんです。
もちろん、今の仕事が自営業で、働かなければ食べていけない環境になったのは大きいですが、「こんなに苦しんでいたのか」と、自分のことながら驚いたのは事実です。

10年以上、同じようなルーティーンで仕事に行く生活をしていたので、辞めた後の朝の解放感はやはり大きかったですね!
マルチタスクの煩雑さから離れられた
もうひとつ大きかったのは、市役所特有の煩雑な業務から離れられたことです。
市役所ではひとつのことだけを進めればいいわけではなく、複数の案件や調整ごとを同時に抱え続けていました。
これが同種の案件ならいいのですが、日々の業務に加えて、予算・決算・計画・行事・議会用資料などなど、自分が今何をやっているかわからなくなることが結構ありました。
ひとつの仕事に集中しているつもりでも、いつも他の作業のことを考えている状況は、今考えると自分にとってはキャパオーバーだったのだと思います。

今の仕事も複数案件抱え続けるものの、同種の案件ばかりなので気持ちに余裕が生まれました。
「今やるべきこと」に集中しやすくなった
今の仕事は、深夜の現場に入ることがあるものの、市役所時代より「今やるべきこと」に集中しやすく、その違いがメンタルの安定につながっているように感じます。
もちろん今の仕事にも大変なことはあります。
ただ、市役所時代のように、様々なことを同時に抱えながら頭を切り替え続ける感覚はかなり減りました。
仕事のことを考えて落ち込む時間も減ったので、今では「自分には市役所の仕事が合っていなかったのかも」と考えることもあります。

目の前のことに集中できる環境になるだけで、気持ちの疲れ方はだいぶ違いますね!
辞める前に一番不安だったのは、お金と社会的信用

とはいえ、市役所を辞めてすべてが良かったわけでもありません。
辞める前に考えていた不安は見事に的中しましたし、市役所の職場環境がいかに素晴らしかったかも実感しました。
また、「市役所職員」という身分の強さも身をもって知りました。
ここでは退職前に私が抱いていた不安とその理由を2つお伝えします。
毎月の安定収入を失う不安
退職前、最も不安だったのは、毎月の安定収入を失うことでした。
市役所にいれば、毎月決まった給料が入り、ボーナスもあります。
大きく稼げるわけではありませんでしたが、特に係長になってからは、不自由を感じない程度にはいただいていました。
景気の影響をダイレクトに受ける民間とは異なり、市役所という景気に左右されにくい職場は改めて素晴らしいと感じています。

特に自営業は繁忙期と閑散期があって収入が不安定になりがちなので、なおさら公務員の給与体系は魅力的に感じています。
「市役所職員」という肩書きがなくなる不安
もうひとつ大きかったのは、「市役所職員」という肩書きがなくなることへの不安です。
家族や近所の人にとって、市役所職員という立場は、自分が思っている以上にわかりやすい安心材料だったと思うのです。
やはり市役所って「安定している」とか「ちゃんとしてそう」みたいなイメージがありますもんね。
そうしたイメージをすでに持たれていたからこそ、その肩書きがなくなることに少なからず不安があったのです。
特に両親からしたら、「せっかく公務員になれたのに」という思いは少なからずあったはずで、そこは今でも申し訳なく思っています。

実際に市役所職員の肩書きがなくなって不便だったのは、ローンやクレジットカードの審査が通らないことですね。
独立1年目なので覚悟はしていたことです。
辞めてからわかった、市役所のありがたさ

市役所を辞めて1年も経つと、市役所の良かった部分を実感する毎日でもあります。
在職中は当たり前のように感じていたものでも、今考えると、決して当たり前ではなかったんですね。
特に強く感じているのは、有休の取りやすさと福利厚生。
市役所の仕事は、時に息苦しさを感じることもありましたが、制度や働く環境の面では守られていたと、今になって実感しています。
有休の取りやすさはかなり恵まれていた
特にありがたかったのは、有休の取りやすさです。
1時間単位で有休を取ることができたので、ちょっとした用事を済ます際に重宝していました。
また、仕事さえ調整できれば急な有休も取りやすく、今考えると恵まれた環境だったと実感します。
福利厚生にも守られていた
福利厚生も、辞めてからありがたさを感じたことのひとつです。
市役所の福利厚生は大手企業ほどではないと言われますが、それでも人間ドックの補助や旅行費の一部補助、リフレッシュ休暇など、十分ありがたいものだったと今になって思います。
市役所で身についた仕事の考え方は今も役立っている

市役所で働いたことを後悔していないのは、間違いなく「成長させてもらった」からだと言えます。
特に大きいのは、仕事の考え方。
「市民に納得してもらえるだけの根拠が揃っているか」「他部署や他自治体、民間企業との調整に耐えうる情報を集められたか」「どうミスを防ぐか・再発防止策の考え方」などは、他の仕事でも役立つ能力です。
ありがたいことに、市役所で学んだこれらのことが今の私の働き方のベースにもなっています。
説明できる形で仕事を進める感覚
市役所の仕事は「市民に理解・納得してもらえるか」がベースです。
そのため、常に「こういう根拠で事業を行います」と説明できるようにしておく必要がありました。
市民に対して説明できるか、納得してもらえる結論になっているかを意識しながら仕事を進めた経験は、どんな仕事をする上でも役立ちます。
特に「根拠を求める」ことと「筋が通っている」ことを重視する働き方は、市役所勤務で得られた財産だと考えています。
調整しながら協働して進める力
もうひとつ役立っているのは、調整しながら協働して進める技術です。
市役所の仕事は、自分の部署だけで完結しないものも多く、調整の毎日だった気がします。
庁内の各部署との調整、市民との協働、市外の事業所や企業との連携などで、様々な人たちと事業を進める場面がたくさんありました。
お互いがメリットを享受でき、かつ市民のためになることを協力して作り上げていくには、市役所の理論だけでは通用しないことも多く、妥協点を見出す調整の技術を学ばせてもらったと考えています。
当時は「めんどくさい!」と思いつつ進めていたことでも、今考えると、自身の成長につながっていたとわかるのが面白いですね。

特に包括的な事業では、多種多様な人たちとの調整が不可欠で、色々と勉強させてもらったのはいい思い出です。
ミスを防ぎ、再発防止を考える姿勢
さらに、市役所時代に身についたものとして大きいのが、ミスをしたときの再発防止を考える姿勢です。
市役所では、ミスを防ぐ意識だけでなく、起きてしまったときに「今後どうすれば同じことを防げるか」を考えることが大事にされていました。
同じミスが起きないよう、手順を見直したり、進め方を変えたりする作業と意識は、どんな仕事にも大事で、今の仕事にも通じるものがあります。
ミスに対する考え方は、間違いなく今の自分の財産になっています。
今、市役所にあえて戻りたいとは思わない

思い返してみると、市役所では実に様々なことを学ばせてもらいました。
とはいえ、市役所に戻りたいかと言われれば、戻りたいとは思えないんですよね。
「絶対戻りたくない」というほど強い拒否感があるわけではありませんが、あえて戻りたいとは思わない、というのが本音です。
結局のところ、市役所という職場は、民間にはない独特なプレッシャーを感じる場所だと思うからなのです。

またあの感覚の中に戻ることを考えると、積極的に戻りたいとは思えないんですね。
もちろん、市役所には職員を大切にする制度があり、働きやすい環境であったと、今では感じています。
このあたりは、本当に向き不向きなのかな、とも思うのです。
それでも、「辞めてよかった」と簡単には言い切れない
ただ、「辞めてよかった」と簡単に言い切れるかというと、正直そこまで単純でもありません。
辞めて初めて実感する、市役所の良いところもたくさんあるからです。
そう考えると、「辞めて正解だった」と結論づけるには、まだ早いかなとも思うのです。
一方で、あのまま市役所で働き続けていたら自分はまだ苦しんでいただろうと思うと、今時点では辞めてよかったとも思っています。
後悔しないために大事なのは、辞める理由を言葉にしておくこと
ここまで振り返ってみて思うのは、退職して後悔しないためには、「なぜ辞めたいのか」を自分なりに言葉にしておくことが大事だった、ということです。
辞めたい気持ちがあるときは、とにかく苦しくて、早くその場から離れたいと考えてしまいがちです。
でも、その苦しさが何なのかを整理しないまま辞めてしまうと、あとから「本当に辞める必要があったのか」と悩んでしまうかもしれません。
たとえば、自分は何が苦しかったのか。
仕事量なのか、人間関係なのか、それとも自分の性格と公務員という立場の相性なのか。
そのあたりを少しでも言葉にしておくと、退職という選択の意味が自分の中ではっきりしやすくなります。
私の場合、一番大きかったのは、公務員としての独特なプレッシャーでした。
仕事中の振る舞いまで含めて「正しくなければならない」と感じていたことや、常に複数のことを考え続ける仕事の煩雑さが、自分の中ではかなり負担になっていたのだと思います。
私は言葉にしないまま1年が経ってしまったので、今回はとてもいい機会だったと思っています。
辞める理由を整理したうえで、実際に転職準備を進めるなら、転職ロードマップ記事をご覧ください。
勢いだけの退職は後悔しやすいと思う

これから市役所を辞める方・辞めたい方に伝えたいことは、「勢いだけで市役所を辞めないでほしい」ということです。
私自身、辞めるという判断をする際は、数年かけて考え続けました。
退職することのメリット・デメリットを天秤にかけながら、デメリットをカバーするための対応をしたりもしました。

具体的には、資金の準備や退職後の生活設計をしたり、公務員のほうが有利なローンなどの利用も計画的に行ってきました。
その結果として、退職後に大きな支障を感じることなく生活できているのだと考えています。
勢いだけで辞めていたら、こうはなっていなかったと断言できます。
円満退職も精神的なプラスになる
職場からどう思われているかはわかりませんが、個人的には円満退職だったと思っています。
ありがたいことに、今でも多くの同期・同僚が連絡をくれますし、遊びにも誘ってもらっています。
多くの同期・同僚と連絡が取れる状態は、精神的なゆとりを感じられる理由のひとつにもなっています。
もし勢いだけで辞めていたら、こうはなっていなかったかもと思うのです。
もちろん、精神的に限界に近い状態なら、まず職場を離れることを優先してもいいでしょう。
ただ、少し立ち止まって考えられる状態にあるなら、一度ゆっくり考える時間をもってみてもいいかもしれませんね。
円満退職を希望する方は、ぜひ退職手順を記した記事も併せてご覧ください。
まとめ:あのまま続けていたら、もっと苦しかったと思う

市役所を辞めて1年。
今のところ、私は退職を大きく後悔はしていません。
公務員としての独特なプレッシャーから解放されたこと、朝の憂うつさが減ったこと、仕事の煩雑さから少し距離を置けたことは、自分にとってかなり大きなプラス材料でした。
一方で、市役所の安定した収入や有休の取りやすさ、福利厚生のありがたさは、辞めてから改めて実感した市役所のいいところです。
そのため、辞めたことに後悔はないものの、単純に「辞めて正解だった」とは言い切れないかなとも思うのです。
もちろん、あのまま働き続けていたら、今も苦しい気持ちを抱えることが多かっただろうとも思います。
もし今、市役所を辞めるか迷っている方がいるなら、すぐ答えを出さなくてもいいと思います。
ゆっくりと考えて、後悔しないだけの材料を揃えてから退職に踏み切っても遅くはないはずです。
私は独立してから現場仕事が多くなりましたが、市役所で培った仕事の考え方を武器に、「市役所を辞めて正解だった」と胸を張って言えるよう、今後も邁進していきたいと思っています。
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