公務員生活が3年目くらいになると、「自分は公務員に合っていない」と考えることが増えてきますね。
実際、私が「公務員辞めたい」と考え始めたのも、公務員3年目からです。
3年も働くと、職場の良い部分と悪い部分が見えてきて、「ここであと30~40年も勤め続けられるか」が現実的な問題として降りかかってくるんですよね。
では3年で辞めた場合、退職金はいくらもらえるのか、気になる方も多いはずです。
そこで今回は、東京都特別区・都内市役所・都外自治体で、それぞれの退職金がいくらくらいになるのか、実際の制度を用いて計算してみました。
さらに失業保険の代わりになる「失業者の退職手当」がいくらになるのかも、モデルケースを使って計算してみました。
「3年勤めた公務員の退職金が知りたい!」という方はどうぞ最後までご覧ください!
公務員を3年で辞めたら、もらえるお金は大きく2つある

「私の人生、別の道もあるんじゃないか」と考えることが多くなるのも、公務員生活3年目くらいが多いのではないでしょうか。
そこで、実際に辞める辞めないに関わらず知っておいてほしいのは、公務員を退職した後にもらえるお金は1つではないということです。
公務員の退職後のお金は、退職時に支給される「退職金」と、条件を満たした場合に受け取れる「失業者の退職手当」の2つがあるのです。
特に勤続3年の人に知っておいてほしいのが「失業者の退職手当」です。
これは、会社員の失業保険に近い役割を持つ制度で、公務員が退職後に失業状態にあり、退職金だけでは保障として足りない場合にその差額分を受け取れる仕組みです。
勤続3年程度だと退職金は少ないですが、だからこそ「もらえるお金は大きく2つある」と理解しておくといいですね!
退職時に支給される「退職金」
まず1つ目は、退職時に支給される退職金です。
これは公務員を退職した後、受け取ることになるお金です。
ただし、勤続3年での自己都合退職では、退職金は決して多くないのが実情です。
退職手当制度はもともと長く勤めた人ほど手厚くなりやすい仕組みで、勤続年数が短いほど金額は伸びにくくなっているんですね。
なお、退職金制度の全体像と実際に私が退職金をもらった体験談をこちらの記事にまとめています。
条件を満たせば受け取れる「失業者の退職手当」
2つ目は、条件を満たした場合に受け取れる「失業者の退職手当」です。
これは、公務員を退職後すぐに再就職せず、一定期間失業状態にある場合などに支給されるものです。
退職金の額が雇用保険の失業給付に満たない場合にその差額分を受け取れるもので、退職金が少ない人ほどもらえる可能性が高くなります。
細かな運用は自治体によって異なることもありますが、考え方は共通しています。
簡単に言うと、「働く意思があり、求職活動をしていること」と、「退職金だけでは失業中の保障として足りないこと」がポイントになります。
- 退職手当の額が失業給付相当額より少ないこと
- 勤続期間が一定以上あること
- 退職後1年以内に失業状態であること
- 働く意思と能力があり、求職活動をしていること

公務員は雇用保険に加入できないため、退職しても失業保険は出ませんが、その代わりの制度として「失業者の退職手当」という仕組みがあるんですね!
勤続3年の地方公務員の退職金の具体例

公務員の退職金制度は非常にシンプルで、①基本額と②調整額の合算で退職金が決まります。
基本額は「退職時の基礎給料月額×勤続年数に応じた支給率」で決まり、調整額は職責や役職に応じて追加されます。
① 基本額:基礎給料月額(退職時) × 勤続年数に応じた支給率
② 調整額:職責や役職に応じた“上乗せ”の金額(一定条件で支給)
ただしここで重要なのは、自己都合退職をする場合、原則として②調整額は支給されないということです。
つまり、3年で公務員を退職するケースでは、①基本額だけを考えればいい、というわけです。
1点注意したいのは、「基礎給料月額」と「勤続年数に応じた支給率」は自治体によって異なるということです。
そこで、次からは、東京都特別区・東京都市町村・東京都外の自治体の3つで具体的な退職金を考えてみます。
東京都特別区を3年で退職したときの退職金モデル例

では、東京都特別区で3年勤務・自己都合退職をした場合の退職金を見てみましょう。
ここでは令和7年度の給料表をベースに、3年目の基本給を238,400円として考えてみます。
特別区の勤続年数に応じた支給率は、最初の10年は1年ごとに100分の50となっています。(特別区人事・厚生事務組合職員の退職手当に関する条例)
そこで、退職金の基本額を計算すると、次のようになります。
基本額:238,400円 × 1.5か月 = 357,600円 ← 退職金
東京都内市役所を3年で退職したときの退職金モデル例
次に、東京都の市役所を3年で自己都合退職した場合の退職金を見てみます。
実は東京都内の市役所は、特別区とは異なる退職制度を定めているケースが多いのです。
具体的には、勤続年数に応じた支給率が最初の10年は1年ごとに100分の90となっています。
ここでは、都内市役所の代表例として八王子市の給料表をベースに、3年目の基本給を251,300円として考えてみます。
基本額:251,300円 × 2.7か月 = 678,510円 ← 退職金
大阪市を3年で退職したときの退職金モデル例
都外の自治体の多くは、退職金の計算方法に国家公務員の退職金と同じ支給率を採用しています。
具体的には、勤続3年の退職金支給率は1.5066となっています。
ここでは、令和7年度の給料表をベースに、3年目の基本給を232,100円として考えてみます。
① 基本額:232,100円 × 1.5066か月 ≒ 349,681円

自治体によって、退職金の支給率は異なることには注意が必要です。
たとえばさいたま市の場合、最初の10年は1年ごとに100分の100と、かなり手厚い退職制度になっています。
自身の自治体の退職金の支給率を確認してみてくださいね!
失業者の退職手当はいくら?もらえるケースともらえないケース

改めてになりますが、公務員には失業保険がありません。
でも実際は、退職金だけでは失業中の保障として足りない場合に、その差額分を受け取れる「失業者の退職手当」という制度があるのです。
特に勤続年数が短いと退職金も少なくなる傾向があるので、勤続3年程度だと「失業者の退職手当」の対象になるケースも多いです。
では、退職金のケースと同じように、3つのパターンで「失業者の退職手当」がいくらもらえるか確認していきましょう!
なお、「失業者の退職手当」の受給条件や計算方法などはこちらの記事で詳しく解説しています。
「失業者の退職手当」を計算するとき、退職金とは異なり“給与総額”を使うことになります。
そこで前提として、地域手当・通勤手当・住居手当・月の残業10時間程度を前提に、給与総額を想定して使っています。
失業者の退職手当の計算方法

まずは簡単に「失業者の退職手当」の考え方を見てみましょう。
失業者の退職手当は、「1日あたりにもらえる金額 × 実際にもらえる日数」で考えます。
1日あたりにもらえる金額(基本手当日額)は、退職前6か月の給与総額をもとに計算します。
また、実際にもらえる日数は、勤続10年未満の自己都合退職なら90日をベースに、そこから“すでにもらった退職金が何日分に当たるか”を差し引いて考えます。
失業者の退職手当=基本手当日額×受給可能日数
詳しい計算方法は、こちらの記事で確認してください。
東京都特別区のケース
では、特別区に3年勤めたケースを見てみましょう。
前提は退職金の計算と同じく、3年目の基本給を238,400円としたうえで、月の給与総額を321,552円とします。
そうすると、賃金日額は10,718円、基本手当日額は6,357円。
退職金は357,600円だったので、失業者の退職手当の金額は216,138円となります。
- 基本手当日額:6,357円
- 所定給付日数:90日
- 待機日数:56日
失業者の退職手当=6,357×(90ー56)
=216,138円
前提条件をもとに計算すると、特別区の3年退職では、退職金は35万7,600円、失業者の退職手当は21万6,138円となります。
計算の詳細は次のとおりです。
① 月額給与総額
= 基本給238,400円
+ 地域手当47,680円(238,400×20%)
+ 通勤手当2,000円
+ 住居手当11,500円
+ 残業代21,972円〔(238,400+47,680)÷162.75×1.25×10〕
= 321,552円
② 賃金日額
= 321,552円×6か月÷180
= 10,718円
③ 基本手当日額
29歳以下・賃金日額5,340円以上13,140円以下の帯なので、
= {0.8-0.3×(10,718-5,340)÷(13,140-5,340)}×10,718
= 6,357円(1円未満切り捨て)
④ 退職金の基本額
= 238,400円×1.5
= 357,600円
⑤ 退職金が基本手当何日分か
= 357,600円÷6,357円
= 56日分(端数切り捨て)
⑥ 失業者の退職手当
= 6,357円×(90日-56日)
= 216,138円
東京都内市役所のケース
次に、東京都内市役所に3年勤めたケースを見てみます。
前提は退職金の計算と同じく、3年目の基本給を251,300円としたうえで、月の給与総額を332,809円とします。
そうすると、賃金日額は11,093円。基本手当日額は6,419円。
退職金は678,510円で、退職金が失業給付相当額を上回ったため、失業者の退職手当の対象外となります。
- 基本手当日額:6,419円
- 所定給付日数:90日
- 待機日数:105日
失業者の退職手当=6,419×(90ー105)
=0円

つまり、退職金が大きくなる都内市役所の退職金制度では、失業者の退職手当が出ないケースがあるということですね。
前提条件をもとに計算すると、都内市役所の3年退職では、退職金は67万8,510円で、失業者の退職手当は0円となります。
計算の詳細は次のとおりです。
① 月額給与総額
= 基本給251,300円
+ 地域手当45,234円(251,300×18%)
+ 通勤手当2,000円
+ 住居手当11,500円
+ 残業代22,775円〔(251,300+45,234)÷162.75×1.25×10〕
= 332,809円
② 賃金日額
= 332,809円×6か月÷180
= 11,093円
③ 基本手当日額
29歳以下・賃金日額5,340円以上13,140円以下の帯なので、
= {0.8-0.3×(11,093-5,340)÷(13,140-5,340)}×11,093
=6,419円(1円未満切り捨て)
④ 退職金の基本額
= 251,300円×2.7
= 678,510円
⑤ 退職金が基本手当何日分か
= 678,510円÷6,419円
= 105日分(端数切り捨て)
⑥ 失業者の退職手当
所定給付日数90日を、退職金相当日数105日が上回るため
= 0円
東京都外の自治体(大阪市)のケース
最後に、大阪市をベースに、3年間勤めたケースを見てみます。
前提は退職金の計算と同じく、3年目の基本給を232,100円としたうえで、月の給与総額を303,414円とします。
そうすると、賃金日額は10,113円。基本手当日額は6,234円。
退職金は349,681円だったので、失業者の退職手当の金額は211,956円となります。
- 基本手当日額:6,234円
- 所定給付日数:90日
- 待機日数:56日
失業者の退職手当=6,234×(90ー56)
=211,956円
前提条件をもとに計算すると、大阪市の3年退職では、退職金は34万9,681円、失業者の退職手当は21万1,956円となります。
計算の詳細は次のとおりです。
① 月額給与総額
= 基本給232,100円
+ 地域手当37,136円(232,100×16%)
+ 通勤手当2,000円
+ 住居手当11,500円
+ 残業代20,678円〔(232,100+37,136)÷162.75×1.25×10〕
= 303,414円
② 賃金日額
= 303,414円×6か月÷180
= 10,113円
③ 基本手当日額
= {0.8-0.3×(10,113-5,340)÷(13,140-5,340)}×10,113
= 6,234円(1円未満切り捨て)
④ 退職金の基本額
= 232,100円×1.5066
= 349,681円(1円未満切り捨て)
⑤ 退職金が基本手当何日分か
= 349,681円÷6,234円
= 56日分(端数切り捨て)
⑥ 失業者の退職手当
= 6,234円×(90日-56日)
= 211,956円
3年で辞めたら、退職金+失業者の退職手当で総額はいくら?

ここまで見てきたように、公務員を3年で辞めたときに受け取れるお金は、退職金だけでなく、条件次第で失業者の退職手当も加わります。
そうなると気になるのは、「総額いくらもらえる可能性があるのか」ですよね。
3つのモデルケースを、退職金と失業者の退職手当に分けて整理すると、次のようになります。
| 項目 | 特別区 | 都内市役所 | 都外自治体 (大阪市) |
|---|---|---|---|
| 退職金 | 357,600円 | 678,510円 | 349,681円 |
| 失業者の退職手当 | 216,138円 | 0円 | 211,956円 |
| 合計額 | 573,738円 | 678,510円 | 561,637円 |
勤続3年の退職者は「失業者の退職手当」の有無で総額は大きく変わる
今回設定した“3年で退職した際のモデル”では、おおむね56万〜68万円前後に収まりました。
退職金は自治体によって差が大きい一方で、退職金が少ない自治体はそのぶん「失業者の退職手当」で補填されることがわかりますね!
ただし、「失業者の退職手当」は退職後に失業していることが受給条件なので、転職が決まっている方にとっては活用しにくい制度です。
一方で、退職後の仕事が決まっていない方や退職後に仕事を探すつもりの方にとっては、「失業者の退職手当」は心強い制度と言えますね!
実際の支給額は前提条件でかなり変わる
ここまでの数字は、あくまで比較しやすくするためのモデルケースです。
特に失業者の退職手当は、退職前6か月の給与総額、年齢、離職理由、地域手当率、残業代、住居手当の有無など、多くの要素で変わります。
そのため、ここで示した数字は「3年で辞めたらだいたいこのくらいの金額になる」と、目安をつかむためのものだと考えてください。
実際に辞めるかどうかを判断するときは、人事担当に「失業者の退職手当」の対象になるか確認してみることをおすすめします。
「いくらもらえるか」以外に注意したいこと

ここまで見てきたように、公務員を3年で辞めたときの退職金や、条件を満たしたときにもらえる失業者の退職手当は、ある程度の金額を把握することができます。
ただ、ここで見過ごしがちなのが、“退職したあとにかかるお金”です。
私自身も、退職後にかかるお金の多さにかなり苦しみました。
特に勤続3年だと、退職金もそう多くはないので、場合によっては退職後に出ていくお金のほうが多くなる可能性もあります。
そこで最後に、退職後にかかる出費について確認しておきましょう。
住民税
住民税は前年の所得をもとに課税されるので、退職後に収入が下がったとしても考慮されないケースが多いです。
転職先が決まっていて、新しい勤務先で特別徴収に切り替わる人はまだ負担感を感じにくいです。
一方で、いったん無職になる人や独立する人は、まとまった住民税を自分で払う必要があり、これがきついのです。
退職前に、現状いくら住民税を払っているか確認しておくことをおすすめします。
健康保険と年金
退職後は、健康保険と年金も切り替えが必要になります。
公務員を辞めたあと、空白期間を置かずに転職する方は転職先の保険に加入するので大きな問題はありませんが、一時的にでも仕事をしない方は注意が必要です。
再就職しない方や独立する方は、任意継続、国民健康保険、家族の健康保険の被扶養者のいずれかを選んで手続きする必要があります。
任意継続や国民健康保険に加入する場合は、今までよりも負担が大きくなる可能性もありますし、なにより健康保険は金額が大きいです。

個人的に一番つらかったのも健康保険です。
任意継続で共済に加入したときは、1年で64万円くらいかかりました。
年金についても、再就職しない期間があれば、国民年金第1号被保険者としての手続きが必要です。
たとえば3月末退職なら、4月1日から第1号被保険者となり、4月分から保険料を納めることになります。
次の仕事が決まっていない人は生活費も考えておこう
特に次の仕事が決まっていない中で公務員を退職する方は、退職後の生活費も考えておかなければなりません。
今まで見てきたように、3年で退職する場合は退職金も多くないので、「一時的に退職金で生活しよう」と考えている方はかなり注意が必要です。
さらに知っておいてほしいのが、「退職金」や「失業者の退職手当」はすぐに振り込まれるものではないということです。
私の場合、退職金が振り込まれたのは、退職後2か月弱が経った頃です。
つまり、一定程度の生活費は事前に用意しておく必要があるということです。
まとめ:退職金を計算したうえで、冷静に判断しよう

今回見てきたように、勤続3年でも退職金は出ますし、条件を満たせば失業者の退職手当が加わることもあります。
ただし勤続3年では、退職金も“まとまった金額”とまでは言えない額に留まることも事実です。
また、退職後には住民税、健康保険、年金、生活費といった支出が続く一方で、退職金はすぐに振り込まれるものではありません。
3年で退職を考えるときは、辞めたあとの支出に耐えられるだけの資金があるかどうかを、判断材料にするのも現実的におすすめです。
勢いだけで退職を決めるのではなく、まずは退職金や失業者の退職手当、退職後にかかる支出を整理してみてください。
そのうえで、転職先を決めてから退職するのか、少し準備期間を取るのか、あるいは今の職場に残るのかを冷静に考えてみることをおすすめします。
民間への転職を考えている方は、転職ロードマップをまとめた記事と、おすすめの転職サービスをまとめた記事がありますので、参考にしてくださいね。
また、公務員を辞めるか悩んでいる方は、地方公務員に特化したキャリア支援サービス「クジラボ」についてまとめた記事もありますので、こちらも参考にしてください。
↓↓市役所をFIREしたい!という方向けの記事です↓↓
↓↓仕事へのモチベーションが上がらない人向けの記事です↓↓
↓↓辞める時期で損得がある?年末・年度末、どっちがお得に辞められる?↓↓
↓↓市役所を早期退職したときのメリット・デメリットを率直に書いた記事です↓↓
↓↓公務員の退職代行について知りたい方はこちらの記事をどうぞ!↓↓